バイク de ラダック

レー近郊の散策で最も便利な交通手段は何だろうか。いろいろ考えた結果、オートバイであるという結論に達した。という訳で、バイクでラダックを攻略してみたい。 とはいうものの、私は免許はおろか、二輪車について何も知らないのだが、どうなることやら。



旅行時期: 2009年9月前半
為替: 1ルピー = 1.89円
作成日: 2009.10.01

目次


レーの交通手段

ラダックの拠点であるレーは比較的コンパクトな町である。普通に生活する限り、徒歩で事足りる。しかし、郊外や丘の上のゴンパに行く場合、いつも徒歩ではしんどい。レーにはオートリキシャがいないため、車を使うとなると、タクシーしかない。困ったことに、レーのタクシーには組合の決めた料金表があり、どこへ行くにも割高でディスカウントの余地が少ない。

また、近郊にあるゴンパはバスで簡単に行けるところもあるが、半数は本数が少なく使いづらい。バスもタクシーもダメとなると、自前で交通手段を用意するしかない。まず思いつくのがレンタル自転車。利用者も多いが、遠出はお勧めできない。というのも、坂道が多い上、日中は非常に暑い。レー近郊といっても、へミスなどは43kmも離れている。健康志向で自転車を借りた結果、体がボロボロになっては本末転倒だ。その上、マウンテンバイクのレンタル料金は、一日300-500ルピーと、オートバイとそれほど変わらない。

消去法で残ったのがオートバイのレンタル。レーでは、他のどの町よりもバイクレンタルの店が多い。そのことが需要の高さを物語っている。


レンタルバイク

レーのレンタルバイク屋は、Old Fortロードやチャングスパ通りにいくつかある。中古マーケットで仕入れてきたバイクを専属エンジニアが整備しながら、主に外国人にレンタルしている。店の前の道にバイクを並べてあるのですぐわかる。どの店も似たようなもので、350CCのEnfield (Bullet??)を一日600ルピー、150CCのBajaj Pulsarを500ルピー、スクーターを450ルピー前後でレンタルしている。長期借りればその分割引がある。

なるべく安くバイクを仕入れたいため、バイクに多少問題があることが多い。例えば、スピードメーターなどの計器類が壊れていたりとか。しかし、オイル計やヘッドライトなど大事なものは、たいていちゃんと動作する。

レンタル時にはパスポートまたは、他の写真つきIDの提示が求められる。さらに、何が起きても店は責任とりませんよ、と事細かく書かれた契約書にサインさせられる。店に保険会社のカウンターなどあるわけもなく、対人、対物、自分自身に何が起きても自己責任。国際免許のチェックももちろんない。このアバウトさと敷居の低さがインドの魅力でもある。

補足

  • 店は朝8時くらいから夜8時くらいまでオープン。朝早くから借りたい場合は、前夜にホテルまで届けてくれる店もある。
  • インドでは、SuzukiやHondaなど日本のバイクも沢山流通しているが、レーのレンタルバイク屋で扱っているモデルは圧倒的にインド製。
  • パスポートを預けるかどうかは店次第。

はじめての二輪車

私は、これまでの長い人生で、オートバイやスクーターに対して興味を示したことはなく、基本的なことさえ知らない。ゲストハウスの中庭に並ぶ、ツーリング旅行者のバイクを見て、やっと興味を持った次第。最初は、簡単そうなスクーターを考えたが、ギアの変換がより難しいというのと、路上のデコボコで車体が跳ね上がる、というのを聞き断念。残る選択肢は、150CCのPulsarと350CCのEnfield。もう少し軽いモデルがあるといいのだが、ないものはしょうがない。幸い、レンタル当日、125CCのBajaj XCD(エクシード)というバイクが入荷されてきたので、それを借りることにした。排気量はPulsarより少ないが、新しいモデルなのでパワーは劣らないとのこと。色もブルーでかっこいい。

まずは運転方法を学ばなければならない。店主にエンジンをスタートする方法、ギアの変換方法など基本的な事を教わる。この時、オートバイのギアは足で切り替える事、自分が何速で走っているか目で確認する方法がない、など初めて知った。最低限の知識を得たところで、車の往来の少ない町はずれの道路に行き、ギアの変換を繰り返し練習した。何度も、エンストさせてしまったが、2時間後には、ゆっくりなら何とか運転できるようになっていた。何かもっと学ぶことがある気がしないでもないが、そのつど覚えることにしよう。

補足

  • レーにはオートマのスクーターがないらしい。
  • 店によっては有料で運転を教えてくれる。(1時間)
  • Bajajはインド最大手のバイク、オートリキシャメーカー。Royal Enfieldはもともとは英国の会社だが、現在はインド資本。
  • xxx http://www.bikeindia.in/ Vol5. 2009 Dec
  • [Wiki] Royal Enfield
  • [Wiki] Bajaj
  • [Wiki] Bajaj Pulsar
  • [Wiki] Bajaj XCD

レーの聖地巡礼

運転練習を兼ねて、レーの主要観光スポットを回ってみることにした。テーマは聖地めぐり。スタートは、フレンドリーゲート近くのタクシースタンド(旧バスターミナル)

ナムギャル・ツェモ・ゴンパ

レー王宮のある岩山のさらに上にあるゴンパ。ゴンパ裏には城砦の跡がある。一般的な個人旅行者は王宮を見学した後、急な斜面を登ってゴンパまでやってくる。今回、私はバイクなので体力を使わずにすむ。遠回りだが、舗装道路がゴンパまで通じている。道の途中、王宮とShanti Stupaが隣に並んで見える場所がある(トップの写真)。ゴンパは王宮よりはるかに高い位置にあるため、レーの町全体を見渡すことができる。

行き方: タクシースタンドの中を抜けて山のほうに向かう道がある。この道はヌブラ谷方面へ通じており、3,4km後にゴンパの近くを通過する。ポログラウンド近くから行く道もあり、途中で合流する。

チケット: 20ルピー

レー北側のStupa

王宮のある岩山の裏側には、緑の多いエリアが広がり、その中にホテルが点々としている。よく見ると、そのエリアの北の端にStupaがある。このStupaは、王宮(東),Shanti Stupa(西)と三角形を描くように位置しており興味深い。すぐ下にゴンパらしき建物もあるのだが、誰もおらず、Stupaだけ見て、村を後にした。

行き方: ツェモ・ゴンパから、北に続く道を進む。道は、山腹を少しずつ下り、3階建ての白いホテルの辺りで、下の道路に降りるころができる。下の道路を王宮方面(南)に戻らず、北へ進む。 Gompa Villageへのリンクロードがあるので、そこを左折して道なりに進むと、Stupaの少し下あたりに出る。

チケット: なし

Donkey Sanctuary

レーには野良牛だけでなく、野良ロバも多い。ロバは山で荷物運びに使われたりするのだが、訳あって捨てられる場合もある。このDoneky Sanctuaryは、そんなストリートのロバを保護するボランティア施設。レーの街中に案内チラシが貼ってあるのだが、結構遠いので行く気がしなかった。 今はバイク持ちなので問題なし。

実際に行ってみると、敷地内にロバが十数頭いるだけのささやかな施設。レー中心部だけでその何倍もの野良ロバがいるはずだが... 資金不足なのだろうか。 2頭の人懐こいロバにつきまとわれ、小額の寄付を残してロバの聖地を後にした。

行き方:北側のStupaから: リンクロードを戻り、岩山のすぐ下を南北に走る道に出る。王宮方面(南)に向かう。途中、Tisserru StupaやDonkey Sanctuaryへ行くの道があるので、右折する。その後、2又の道を右に。道沿いにDonkey Sanctuaryがある。最初の右折のポイントは、標識がなくわかりにくい。左側に学校が見えたら、行き過ぎなので、引き返す。逆方向からだと、標識がある。

チケット: Donation

Tissuru Stupa

ちょうど、北側のストゥーパとShanti Stupaの間にある仏塔跡。誰も管理しておらず、荒れ果てた内部を、探検家気分で上の方まで登ることができる。

行き方: Donkey Sanctuaryから先にさらに進むと、左側に土の建物が見えてくる。

チケット: なし

Shanti Stupa

ご存知、日本山妙法寺が建設したストゥーパ。こちらも、交通手段のない人は、チャングスパ通りを端まで歩き、急な階段を上まで登る必要がある。道路は裏側から通じているので、バイクがあれば気軽に訪問できる。丘の上には、仏塔、食堂に見晴らしのいい広いテラスがある。ここからの眺めはレーNo.1で、ツェモ・ゴンパからは見えないチョグラムサルも見ることができる。テラスは、冥想、ヨガ、昼寝スポットとしても人気がある。

行き方:Tisseru Stupaから、道をさらに進むと、Shanti Stupaへの坂のゲートがあり、英語とカタカナでShanti Stupaと書かれている。

チケット: なし。夜9時まで入れる。日の出スポットでもあるので、早朝行っても問題ない。

写真: Shanti Stupaテラスからの眺め

Sankar Gompa

よく考えてみると、Sankar Gompaがレーから一番近いゴンパと言える。ツェモ・ゴンパは基本的に活動していないし、Shanti Stupaは僧院ではない。 本堂が見学できる。

行き方:  Shanti Stupaから: 坂を下りまっすぐ進む。途中、Snakar Gompaへのリンクロードがあるので、右折する。標識はあるが、ちょっとわかりにくい。 突き当たりにゴンパがある。

チケット: 請求されなかった。20ルピー(ロンプラ 2007)

Chowkang Gompa

メインバザールの真ん中に位置するゴンパ。本堂が見学できる。もちろん徒歩でも訪問できる。

行き方: Shanti Stupaからチャングスパ経由で来る場合: Shanti Stupaから坂を下り、道なりに進む。右手に道が見えたら右折する。 Oriental G.H.などのホテルを過ぎ、Stupaの逆側、上へ登る階段の辺りまでやってくる。ここで左に行く道があるので、左折する。ここからチャングスパ通り沿いに多数のゲストハウスが並ぶ。1,2km進むと自然にメインバザールに出る。

Shanti StupaやSankar GompaからWAC経由で来る場合: 道なりに進むと、王宮の岩山の裏の道に出る。そのまま進み、Women's Alliance Centreを経て、メインバザールに行き着く。

チケット: なし。

レー王宮

忘れてならないのがレー王宮。普通は、モスク横のオールドタウンから徒歩で登っていくのだが、バイクがあれば、直接乗り込める。王宮自体は、十分修復されておらず見所は少ないが、中庭や屋上から雰囲気を楽しむことができる。

行き方: メインバザール(一方通行)をそのまま進むと、出発地点のタクシー・スタンドに到着する。今度は、ポログラウンドに向かうタクシースタ ンド前の道を進んでいく。 ポログラウンドには入らず、一本手前の道を右に進む。Leh Palaceへの道案内が途中で出てくるので、それに従い山腹の道を進むと、王宮に到着する。 1-2km。

チケット: 100 ルピー。

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距離と時間の目安

バ イクの距離メーターを基に算出。1キロ程度の誤差あり。ゴンパの頂上まで行く時間と距離を含む。後半のデータは少しあやふやで不正確。

FromToDistanceTimeDetail
Lower Taxi StandTsemo Gompa4km8min
Tsemo GompaStupa in North4km10min
Stupa in NorthDonkey Sanctuary4km10min
Donkey SanctuaryTissuru Stupa1km2min
Tissuru StupaShanti Stupa2km5min
Shanti StupaSankar Gompa2km5min
Sankar GompaChowkang Gompa3km10min チャングスパ経由の場合
Chowkang GompaLower Taxi Stand1km3min
Lower Taxi StandLeh Palace1km4min
Leh palaceLower Taxi Stand1km4min戻り
Total 23km61min

感想

約20kmのルート。所要時間1時間のエントリー・レベルのコースといえる。メインバザールとタクシースタンドの間を除いて、車の往来は少ない。運転にも慣れてきたので、次はレーを飛び出して近郊の村を訪問してみたい。

バイクで旅行

  • よく、Enfieldに荷物を積んで、旅行している欧米人がいるが、彼らはたいてい、レンタルではなく、購入している。そのほうが安上がりだし、バイクを借りた町に戻る必要がない。
  • 私が借りたBajaj XCDの場合、45000ルピー(約9万円)程度で売られているようなので、一日500ルピーとすると、新車を買っても90日で元が取れることになる。ラダックの観光シーズンは短いので、すぐに転売されることになるのだろう。
  • 興味深いチラシ: レーからマナリーまでの3日間のEnfieldツアー。参加費用はいくらくらいするのだろうか。
    • 9/12-14
    • 新型Enfield Machismo 500CC
    • メカニックとガイドが同行。予備のバイクも持参。

下ラダックとチョグラムサル

レー近郊のゴンパは、マナリー方面の上ラダックとスリナガル方面の下ラダックに分けることができる。ほとんどのゴンパは上ラダックに集中しているため、上ラダックのツーリングが最終的な目標だ。その予行練習として、ゴンパの少ない下ラダックと上ラダックの入り口であるチョグラムサルの村を攻めてみたい。

スピトク・ゴンパ

飛行場の端の岩山にそびえるスピトク・ゴンパ。 レーから近く、レー王宮やツェモ・ゴンパからもうっすら見ることができる。荒涼とした場所にあるが、背後には豊かな農村が広がっている。

行き方: レー南のガソリンスタンド(Indian Oil)そばのロータリーを直進する。これがエアポートロードで、空港敷地の壁沿いに進んで行く。スピトク・バス停のすぐ後にゴンパへ登る道があるので、そこを左折する。7 km, 12分。 

チケット: 料金を請求されたことがない。20ルピー(ロンプラ 2007)

ピャン・ゴンパ

スピトクから、さらに先に進むと、右側にピャン村と丘の上のゴンパが見えてくる。こちらも、ゴンパ裏側が農村地帯になっている。行ってはみたものの、相手にしてくれる僧侶がおらず、中を見学できなかった。

行き方: 来た道を走り続ける。この道路は、アルチやラマユルを経て、スリナガル方面へ続く。登り坂の途中で、インダス川を見下ろせる場所が2箇所ほどある。橋を超えさらに進むと、ガソリンスタンドが見えてくる。そのすこし手前にピャン村へ続くリンクロードがあるので、そこを右折。道はゴンパの丘の上まで続いている。

チケット: 不明。 25ルピー(ロンプラ 2007)

チョグラムサル

レーの郊外にある町で、レーからは乗り合いVANやバスが頻繁に行き来している。ここは、ダライラマがラダック訪問時に泊まる宮殿(ポタン)やチベット難民の村として有名。集落は3つに分かれており、最初にチベット人集落、次にバス停やタクシースタンドのある町の中心地、最後にポタン近辺の集落がある。町の中心地では、チベット人経営の食堂が道路沿いに並び、ドライブインのような役割を果たしている。

この町にはTCV(Tibetan Children's Village)や仏教の研究施設(Cultual Institute of Bhuddist Studies)などの学校があり、入り口で許可を得れば、中を見学することができる。

行き方: レーのガソリンスタンドそばのロータリーを左折する。この道は、チョグラムサル、カル、ウプシを経てマナリー方面へ向かう基幹道路。7km, 10-15分。

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距離と時間の目安

バイクの距離メーターを基に算出。1キロ程度の誤差あり。ゴンパの頂上まで行く時間と距離を含む。

FromToDistanceTimeDetail
LehSpituk7km12min レーのガソリンスタンド - スピトクバス停(10min)
上のゴンパまで(2min)
SpitukPhyang7km25mn
PhyangLeh14km30min戻り。
LehChoglamsar7km11min レーのガソリンスタンドからチョグラムサル中心地まで。
ChoglamsarLeh7km11min戻り
Total 42km89min

感想

約40km, 90分のコース。郊外の町まで足を伸ばしたため、距離が倍になった。幹線道路中心のルートで、いつもよりスピードを出した。といっても40-45km/h程度なので、後ろから来る車やバイクにどんどん抜かれていった。

補足

ス ピトク方面 ルート詳細

  • レーのバスターミナルから南へ下っていくと、まず、Indian Oilのガソリンスタンドが現れる。そのすぐ先に、チョグラムサル方面とスピトク方面への道が分岐するロータリーがある。そこを直進すると、左側に、ツーリスト・オフィスやGPOの建物がある。バイクの修理屋や商店の多いにぎやかなエリアを過ぎると、スピトクまで何もない殺風景な景色が続く。スピトク・ゴンパの裏側に回り、橋を渡ったあたりがマルカ谷トレッキングのスタート時点。ジープ道がインダス川沿いにジンチェン村まで続いている。
  • Shanti Stupaの辺りから直接、スピトク方面に続く道もある。インド軍のトラックがよく走っている。

チョグラムサル方面 ルート詳細

  • Indian Oil先のロータリーを左折する。道の左側にバイクの修理屋や政府の施設がある。緩やかな登り道の先には、レーをチョグラムサルを分断する岩山があり、その岩山の間を抜けると、チョグラムサルまで下りが続く。まずは、左手側に"Model Village"サブー村への分岐が現れる(6km, 14分)。しばらくすると、軍の施設か何かの守衛が、派手な帽子とコスチュームでお出迎え。Indian Oilのガソリンスタンド、バイクのリペア・ショップなど過ぎると、チョグラムサルのチベット人移住地、ソナムリンに到着する。

 

ゴンパについて

  • インダス川周辺の農作可能な土地に、集落があり、それぞれの村にゴンパがある。村と村は離れているが、途中何もないため、丘の上のゴンパに登れば、他の村のゴンパを見ることができる。ストック、マト、シェイ、ティクセ、スタクナは、ストック・マト間を除いて、お互い見渡せる。
  • 各ゴンパについて、詳しい説明は、日本語なら、旅行人ウルトラガイド「ラダック」、英語ならMilestone社の「Ladakh - the essential guide」 (800ルピー)がいい。カラーで写真も豊富。現地で購入できる。
  • ゴンパやパレスには、昼休みが設けられていることが多い。1時-2時が多く、場所によっては僧侶が不在で中を見学できない。ストック王宮の場合、2時になるまで博物館に入れないので、カフェでアイスクリームを食べて待つ。逆にへミスの場合、チケットカウンターが閉まるので、ノーチェックで中庭に入れる。

 

上ラダック ゴンパめぐり

上ラダックはゴンパ密集地帯。インダス川の西側に、ストック、マト、スタクナ、へミス。東側にシェー、ティクセ。カルの先にチェムレ、タクトク。これらを一日でまわることができるのだろうか。検証してみた。

ストック王宮

ストック・カングリ登山のスタートポイントであるストック村。ゴンパもあるが、メインは王宮。中は博物館になっており、昔の王族の衣装やお堂が見学できる。 

行き方: チョグラムサルのタクシースタンドを右に曲がり、インダス川を渡る。T字路に出たら左に行く。しばらくすると、雪山に向かってまっすぐ伸びる舗装道路があるので、そこを右折してストックまで行く。この分岐を曲がらず直進するとマトやヘミス方面へ至る。チョグラムサルから約8kmで、ストックカングリ山を正面に走る爽快なドライブ。王宮の裏に駐車場がある。

チケット: 50ルピー。博物館内は写真禁止。

マト・ゴンパ

景色がいいと評判のサキャ派ゴンパ。裏に広がる農村はフォトジェニック。川の方から見ると、山の上にゴンパの建物がちょこんとあるだけで、”なんでこんなところに?”感が強い。ラマを見つけて、本堂と小さな仏像が並ぶ小部屋を見せてもらった。

行き方: ストックから行く場合、リンクロードを通って、メインロードの分岐地点まで戻る。そこから、へミス方面へ続く道を進む。最初の300mほどは工事中で未舗装。対岸のティクセ・ゴンパが真横に来る辺りで、マトへ続くリンクロードが出てくる。ここまで7km。右折してさらに7kmほど進むと、マト村に到着。丘の上のゴンパまで道路が延びている。ストック同様、メインロードから集落まで何もない荒野を突っ切っていく。気分はルート66

チケット: 20ルピー。

スタクナ・ゴンパ

インダス川沿いの丘の上にあるゴンパ。農地に囲まれてボツンとあるため、よく目立つ。カル-スタクナ間やスタクナの橋の周辺は、インダス川がエメラルドグリーンに輝ききれいに見える。

行き方: マトから: いったん、メインロードまで戻り、南に進む。ゴンパがすぐ近くに見えてきたあたりで左折。この道は、ゴンパや対岸に渡る橋に続いている。
インダス川東側のメインロードから: スタクナへの分岐(商店一軒)があるので、そこを進み橋を渡る。レー-カルのバスを途中下車する場合もここ。

チケット: 請求されなかった。20ルピー(ロンプラ 2007)

へミス・ゴンパ

チェチュ祭のマスクダンスで有名なヘミスゴンパ。普段はひっそりしていて、あまり活気が感じられない。他のゴンパが高い丘の上にあるのに対して、へミスゴンパは岩山の真下にある。そのため、すぐ近くまで行かないと、ゴンパの存在が確認できない。向かって右側にPujaが行われる本堂、その2Fに巨大なリンポチェ像。左側の部分は修復工事中で見学できなかった。中庭の端に博物館への入り口があり、仏像やマスクダンスのマスクが展示されている。

行き方: インダス川の西側から:  スタクナへ枝分かれした道を分岐点まで戻り、南へ進む。しばらくガタガタのジープ道が続くが、すぐに舗装された道になる。最初の10分くらいは、非常に道が悪く、デコボコ、冠水などが定期的にやってきて障害物競走さながら。スクーターではきついかもしれない。道路がまともになった後、左側にカルの町が見えてきて、T字路に突き当たる。右にいけばへミス(5km), 左にいけばカル(3km)。
インダス側の東側から:  レー-マナリー道路を通り、カルまで行く。道が分岐するので、ウプシ方面の右側を選ぶ。すぐにヘミス方面への道が現れるので、まっすぐ進まず、坂を下り、水力発電所横の橋を渡る。正面の山の麓へ続く道を進むと、へミスに着く。カルから約20km。ローカルバスもこのルートを通る。

チケット: 100ルピー。

カル

カルはインド軍のキャンプが集中するエリア。レーからウプシを経てマナリー方面へ向かう道路とパンゴン湖へ向かう道路が分岐する。(川側の道がウプシやヘミス、逆側の道がパンゴン湖方面)。道沿いのレストランはパンジャビ・フードばかりで、チベット食堂は1軒しかない。パンジャビからの観光客が多いのは理解できるが、あまりにも極端すぎる。

チェムレ・ゴンパ

山の片側斜面に構築されたゴンパと僧坊。その外観はティクセに少し似ている。あまり観光客慣れしている感じはしなかった。 広めの本堂と3mの仏像(4F)がある。

行き方: カルからパンゴン湖方面に8kmほど進むと、左側に見えてくる。ゴンパへのリンクロードに入り、ゴンパに近づくと、道が左右に分かれる。左の道が丘の上に続く舗装道路。

チケット: 50ルピー。


タクトク・ゴンパ

本堂の一部が洞窟になっているニンマ派ゴンパ。すぐ近くに新築のゴンパがある。訪問した時間が遅かったせいか、誰も居らず中に入れなかった。ラマ達は新しい僧院のほうにいるのかもしれない。ちょうど学校の下校時間に当り、すれ違う小中学生全員からジュレ・ジュレ攻撃を受けた。ゴンパには入れなかったが、人は擦れておらず感じが良かった

行き方:  チェムレの先をさらに進むと、シャクティ村の入り口に着く。道が2,3枝分かれしており、一番右手の道は、山腹の道へ、その一本左側の道がゴンパへ続く。商店、学校を過ぎ、右側に旧ゴンパがある。チェムレより7km。

チケット: 20ルピー (ロンプラ 2007)

ティクセ・ゴンパ

へミスと並ぶ観光客に人気のゴンパ。売りは朝のプージャ、14mの仏像、そしてその要塞のような外観。僧侶は観光客に慣れておりフレンドリー。

行き方: インダス川東のメインロード沿い。レーから21km、カルから18km。レーよりバスが30分おきにあるので、アクセスが良い。バス・徒歩なら、上まで登る必要あり。 車、バイクならバス停から続く道路が上のゴンパまでつながっている(1,2km)

チケット: 30ルピーだが請求されたことがない。下から登っていき、右側の本堂に出れば、チケットカウンターをバイパスできる。

シェイ・ゴンパ

ティクセのついでに訪問されることの多い、ゴンパと王宮跡。隣には砦跡があり、途中まで登れる。ラマが見当たらず、本堂を見学できなかった。掃除のおじさんに小銭を渡せば入れたのかもしれない。

行き方: メインロード沿い。ティクセのバス停より5km。途中、白い仏塔がたくさんある。メインロード脇に"Fish Pond"へ続くリンクロードがあり、草原や農地の間を抜けてシェイに至る近道がある。Fish Pondとは、シェイ王宮の目の前の池のこと。建物は岩山の上にあるが、他のゴンパと違い、そんなに高くない。バイクで途中まで登れる。

チケット: 料金不明

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距離と時間の目安

バイクの距離メーターを基に算出。1キロ程度の誤差あり。ゴンパの頂上まで行く時間と距離を含む。大部分、時速30-40kmの安全運転で走行。ゴンパの頂上へ続く坂道はノロノロ運転。

FromToDistanceTimeDetail
Lehchoglamsar7km11minレーのガソリンスタンドからチョグラムサル中心地まで。
choglamsarstok palace8km14minリンクロード入り口まで(2km, 4min)
ストックまで (6km, 10min)
stok palacematho gompa20km39minリンクロード戻る(6km, 10min)
メインロード (7km, 15min)
マトへのリンクロード(7km, 14min)
matho gompastakna gompa15km30minリンクロード戻る(7km, 14min)
メインロード (6km, 11min)
ゴンパまで(2km, 5min)
stakna gompahemis gompa18km37minメインロード戻る(2km, 5min)
メインロード (11km, 22min)
T字路からへミスまで(5km, 10min)
hemis gompakaru8km19minへミス-T字路(5km, 10min)
T字路-カル (3km, 9min)
karuChemrey Gompa11km24minリンクロード入り口まで(8km, 16min)
ゴンパまで (3km, 8min)
chemrey gompatakthok gompa10km21minゴンパ-メインロード(3km, 8min)
タクトクまで (7km, 13min)
takthok gompakaru15km30min
karunear stakna11km24min分岐からStaknaまで、2kmくらい。
near staknaTikse gompa7km14minティクセバス停まで(5km, 10min)
ゴンパの上まで (2km, 4min)
Tikse GompaShey gompa7km14minティクセバス停まで戻る(2km, 4min)
シェイまで(メインロード 5km,10min
近道、3km, 10min)
Shey gompaChoglamsar6km14min戻り
ChoglamsarLeh7km11min戻り
Total150km300min

結果

平均時速30-40kmの安全運転のため、移動だけで5時間もかかってしまった。各スポット(10ヶ所)に20分づつ使ったとして、3時間20分。移動と合わせると8時間20分。一日で回るのは可能だが、かなり疲れるだろう。 私は、一部のゴンパをすでに見学済みだったので、多少時間を節約できた。

今回のルートでは、レーからへミスまでインダス川西側のメインロードを走り、橋を渡りカルに行き、チェムレとタクトクにサイドトリップした後、東側のメインロードを走ってレーまで戻った。東側の道は基幹道路なので、比較的路面の状態はいい。西側は村の住民向けの道でガタガタの場所も多いが、バイクで走る分には問題ない。西側はほとんど車がいないので、気楽に運転できる。東側も、基幹道路のわりには交通量は少なめ。運転暦3日の自分が問題なくゴンパ巡りできたのも、"レー近郊は道がガラガラ"という恵まれた環境に拠るところが大きい。

運転環境

ガソリン スタンド

  • Indian Oilのガススタンドがいくつかある。レーの南、チョグラムサルの手前、カルの手前、スピトク、ピャンへの分岐近くなど。
  • レーやチョグラムサルのスタンドは朝早く(6時くらい?)から夜遅く(9時くらい?)までやっている。
  • ガソリン料金は均一ではなく、同じIndian Oilでも、レーがリットル50.75ルピーなのに対し、チョグラムサルは53.35ルピーだった。同じ時期、スリナガルでは、49.52だったので、レーは割高。
  • また、この2つ以外のスタンドは夕方になると、ガソリンの”売り切れ”があったりするので、その日必要なガソリンは朝補給しておいたほうがいい。
  • おつりが面倒なため、"何リットル"ではなく、"何ルピー"分をリクエストする人が多い。セルフではなく、店員がすべてやってくれる。
  • スタンドの数が少ないせいもあり、その辺の道路沿いの商店でも、ガソリンを売ってくれることがある。チョグラムサルとカルは30kmほど離れているが、その間ガソリンスタンドはない。
  • バイクをレンタルすると、前の使用者のガソリンが少し残してある。

修理

  • バイクのリペア・ショップは、町のはずれ、基幹道路沿いによくある。レーでは、スピトクへ向かうエアポートロードに2,3軒。レーとチョグラムサルの間に数件。レー以外では、チョグラムサルとカルに一軒づつ見かけた。
  • レンタル屋でも修理を行っており、部品交換がなければたいてい料金は請求されない。私は、転倒した時に、バイクの足を乗せる部分をひん曲げてしまったが、店員がパイプをうまく利用し、力ずくで直してしまった。
  • エンストして、なかなかエンジンを起動できないときがある。そういうときは、たいてい誰かが助けてくれる。
  • 一度、どうしてもスタートできずにチョグラムサルのリペア・ショップに持ち込んだ時がある。原因は、オイルタンクの下のオイル抜きレバーの位置。残りのオイルが2L以下の時は、特定の位置にセットしておく必要があるのだが、その知識がなかった。単純なトラブルなため料金は請求されなかった。
  • とはいうものの、突然調子が悪くなった時にリペア・ショップが近くにあるのは稀で、人口密度の低いラダックでは、悲惨な目に遭う。

事故

  • 3日間乗って、2回転倒した。最初は練習中に、対向車を避けて道路わきの砂利道をノロノロ走っているとき。2度目は、ゴンパからの帰り、下り道で、同じく道路端の砂利の多い場所で。 原因はいずれも、ブレーキに加え、クラッチを握ってしまったため。時々、あせって自転車のように両方のレバーを握ってしまうだ。エンジンブレーキが利かないので、あっさりスリップしてしまう。
  • 腕、足のすね、手のひらを擦りむいた。レーでは通常サイズのバンドエイドしかなく、さらに質もよくない。転倒後は、なるべく手袋をするようにした。
  • さらに、ニュートラルで、方向転換している時や、坂道でのスタート時に、車体の重さに負けて2,3回バイクを倒してしまった。

ヘ ルメット

  • 言えば、無料で貸してもらえるが、質はよくない。保護用というより、警官対策。
  • 走っている人の半分はノーヘルだったので、一度もヘルメットをかぶらなかった。かぶると視野が狭く運転しずらい。
  • ヘルメットを着用していない場合の罰金は2500ルピー。
  • インド軍の基地だらけのレーでは、ミリタリーポリスのジープと一日何度もすれ違う。しかし、職域が違うのでつかまることはない。
  • Traffic Policeといって、ヘルメット、免許、車両の登録証をネタに取り締まりをしているオジサンがいる。私も、最後の日、エアポートロードで張っている警官に止められてしまった。
  • 免許は、国際免許証を見せてごまかした。もちろん普通免許のみで、このサイズの二輪車には乗れない。ヘルメットに関しては注意のみで罰金はなし。車両の当緑書類の不所持の件で、罰金100ルピー徴収された。支払いのレシートは24時間有効。
  • つかまった件で、バイクレンタルの店主に確認すると、ヘルメットをかぶっていれば絶対に止められない。車両の登録証は貸し出せないので、店のビジネスカードを見せればいいとのこと。

道の状態、混雑

  • インダス川の東側の道路は幹線道路なので、道は比較的まとも。交通量はそれほど多くない。川の西側の道は、数少ない住民の車か工事用のトラックくらいしか走っていない。道は一応舗装されているが、ひどい所はひどい。
  • レー中心部の道路は、そんなに悪くないが、坂が多い。メインバザールとバスターミナル近辺は混雑しているが、それ以外はすいている。

運転

  • ギア変換などの基本的なところは意外とあっさり習得できた。カーブやUターンは今も苦手。バイクを倒してしまうのを恐れてほとんど練習しなかった。オートバイは簡単には倒れないと頭では分かっていても、必要以上に大きく回ってしまう。
  • 基本的に見通しのいい道を進んでいくだけなので、細かいテクニックはあまり必要ない。注意が要るのは、追い越しで逆車線にはみ出してくる対向車。それに、急に止まる乗り合いVAN.
  • 他の車やバイク、スクーターは、だいたい60-70kmくらいで走っている。私は平均30-40kmで走っているので、どんどん抜かれる。バックミラーはあまり見ないが、たいていホーンを鳴らしてくれるので助かる。

ヒッチハイク

  • 一人でバイクに乗っていると、よくヒッチハイクされる。場所は、バスの少ない村だったり、主要道路から村へと続くリンクロードの入り口だったりする。相手は、小学生くらいの子供から、若者、オバサンまでさまざま。たいてい乗せてあげたが、大きな荷物を持っている人の場合、うまく運転する自信がないので勘弁してもらった。オバサンは重い場合が多いので、発進の時には細心の注意が必要。
  • このように、ヒッチハイク文化が浸透しているラダックでは、旅行者がトラックをヒッチして旅行するのもめずらしいことではない。

さらに遠出

  • 下ラダックは、リキール(60km)、アルチ(67km)、ラマユル(125km)など、さらに先に続く。アルチ、リキールは日帰り圏だが、情報不足に加え、遠出に自信がなかったので行かなかった。
  • バイクを借りる旅行者の中には、ヌブラ・バレーやパンゴン湖までツーリングする人もいる。ヌブラ谷の場合、世界一標高の高い道路であるカルドゥン峠(5602m)を越えていく。中心の村、ディスキットまで118km。バスで6時間、ジープで4,5時間。途中で借りたバイクが壊れて、同行者のバイクに乗って帰ってきた人が一人いた。
  • ヌブラ谷やパンゴン湖へ行くには、許可証が必要で、建前上、4人以上のグループに対して与えられる。レンタル屋のオーナーが言うには、一人で行っても、チェックポイントで追い返されることはないという。もし、他のメンバーは?と聞かれたら、「バスで来る」と答えろとのこと。

まとめ

新しい世界へ

オートバイという新たな交通手段を得て、行動範囲が広がった。同時に視野も広がったようで、例えるなら、急に身長が10cm伸びたような感じだ。バイクのメリットとしては、好きな時間に、距離をあまり意識することなく、気軽に移動できること。バスのスケジュールに縛られることもない。

楽しきゴンパ・ラリー

人口密度の低いラダックではあるが、各村に立派なゴンパがある。村と村の間は適度に離れており、ツーリングにもってこいの距離。通行車両も少なく、マイペースで移動できる。大半のゴンパは見晴らしのいい高い場所に建っており、徒歩だと苦痛な坂道も、バイクだと景色を楽しむ余裕まである。ラダックのゴンパは、実はバイク乗りのために存在しているような気がしてならない。

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