ラダックフェスティバルを攻略

ラダックのピーク観光シーズン(7-8月)を、無理矢理2週間延長するかのように、設けられたラダックフェスティバル(9/1-15)。 フェスティバル中、マスクダンス、ポロの試合、アーチェリーなどのイベントが開催され、初日と6日目にはメインバザールでパレードがある。 州観光局主催のツーリステックな内容と言われているが、どの程度のものなのか。各イベントに参加してみた。



旅行時期: 2009年9月前半
為替: 1ルピー = 1.89円
作成日: 2009.10.01

目次


パレードと開会式

ラダック・フェスティバルのハイライトと言えるのが、初日の市内パレードとそれに続く開会式。町をあげて盛大に行われ、これだけ見れば十分という意見もある。

パレード

プログラムによると、11時からポログラウンドで開会式があり、先立ってChubiから会場まで、メインバザール経由でパレードが行われる。 あくまで開会式のスタートが11時ということなので、パレードは10:30頃にメインバザールを通過する予定だ。道の両側ではカメラを持った観光客が、1,2列になって待ち構えている。

パレードは、村や団体が、それぞれグループを構成してやってくる。 2,30m進んでは、笛と太鼓に合わせて踊りを披露し、また進む。最初のうちは、メインバザールの前半部分(La Terrasseの辺りからモスクまで)より後半部分(モスクから南の突き当たり)のほうがすいていて見やすいが、パレードが進むにつれ、だんだん場所取りの意味がなくなってくる。手前の場所で既にパレードを見ている人が、パレードを追っかけて車道を歩いて移動するのだ。他の旅行者に目の前を歩かれては写真も撮りずらい。こうなっては、自分も前に出るしかない。

パレードの組は、組織(村や団体)の名前が書かれた旗に先導され、十数人の踊り手と付属の笛吹きや太鼓叩きとともに行進する。グループの数は結構多く、民族衣装も意外にバラエティがある。特別な組としては、大勢の子供が小太鼓をもって踊る一見韓国風のグループと獅子舞、トラックに僧侶を乗せてやってくるある僧院のグループ、馬に乗った王様とその家来風のグループなどがあった。

写真: 上: Dha Bema?のグループ。左: 小太鼓のグループ 右: フレンドリーゲートと王様?

レーの市内で行われるイベントとしては最大級のものなので、住民の注目度も大きい。2階の窓からは大勢の人が見物し、道の両側にはイスラム学校の生徒がずらっと一列に並んでいる。外国人、インド人観光客、地元民が入り乱れて通りはかなりの盛り上がりを見せていた。パレードは、メインバザールを抜けて、フレンドリーゲートのある旧バスターミナルまで進み、そこで折り返してポログラウンドまで行く。結構、距離があるので、お気に入りの組を追いかけて踊りを何度もみたり、カメラを持って行ったり来たりする余裕は十分ある。ポログラウンドに着いた隊列は東側のスタンドまで進み、開会式の出番が来るまでここで待機することになる。

開会式

11時頃、パレード参加者の出迎えを受け、VIPを乗せたジープが数台到着する。VIPが西側の観覧席に座り、開会式が始まった。 最初のうちは、ラダック観光の関係者のスピーチを長々と聞くことになる。その間、ツーリストの行動は2つに別れ、この後VIP席の前でダンスが披露されると知っている人達は、見やすい場所を確保して、退屈なスピーチにつきあう。 それ以外の人は、東側のスタンドとその奥に座っているパレード組の写真を飽きずに取りまくっている。大人数が民族衣装を着て並んでいると絵になるのだ。

私は開会式の内容を把握してなかったので、後者に属し、会場全体をブラブラしていた。スピーチが終わると、ようやくショーの開始。各グループがVIPの前のスペースまで行き、踊りを披露する。残念ながら東側のスタンドからでは遠すぎて楽しめない。混雑覚悟で、踊りの行われているエリアに向かう。よく見ると、4重、5重の輪になって踊りを見ているのはすべて地元民で、彼らはロープの外から見物している。ロープの中では外国人やインド人観光客が悠々と地面にすわってショーを楽しんでいる。そもそもラダック・フェスティバルは観光客のためのイベントなので、こういう露骨な区別が行われているのだ。私も、ロープの中に入っていき、角度はいまいちだが、最前列に座ることができた。

踊りはVIP席のある西側のスタンドに向かって行われる。私の場所は南側やや後方なので、踊りの途中、たまに回転する時以外は、踊り手を正面から見えない。それでも、レー王宮をバックに踊りの見るのは雰囲気がある。午後1時ごろには、選抜された7,8組のショーすべてが終わり、開会式も終了。 2時間半の充実のイベントであった。


  写真: 上: 自分のショーの時間まで待機する女性。 下:ショータイム。ラダックダンスはゆっくりとした踊り。

写真スポット: 観客は踊りスペースをぐるっと囲んで座っている。VIP席の真下(西側)が、踊りを正面から見えていい。王宮をバックに入れたいなら、南側がいいが張られた旗がちょっと邪魔。

フェスティバル

  • 開催期間: 9/15までは、インド政府がマナリー - レー間の道路を保障している。実際には雪で不通になるのは、10月以降なので、それまでバスやジープでの移動に問題はない。
  • プログラム: なぜかネットではプログラムが発見できなかった。現地に行けば、あちこちにスケジュールが貼ってあるし、ツーリストオフィスでは、プログラムの小冊子を入手できる。
  • 2009年のスケジュール
  • スポンサーにmaruti Suzukiが名を連ねており、各会場に新車が展示されていた。ラダフェスは商業的なイベントでもある。

パレード

  • Chubi: レー王宮の裏側あたり。Women's Alliance Centreなどがある。
  • メインバザールは、一直線の通りではなく、モスクで直角に曲がっている。
  • いつもはメインバザールの西側の歩道に陣取る野菜売りのおばさんが、この日だけは東側に移動した。

開会式

  • VIPは確か、観光局長官の夫人。
  • 結局は、ロープは取り払われ、地元民も観光客のすぐ後ろに陣取った。
  • 最後の組だけは、観光客も加わって踊った。
  • 観客にはランチボックスが配られた。その中身はパン、ジュース、りんご。
  • フェスティバル中、ポログラウンドのそばに、移動式のショッピング・ドームと遊園地ができていた。ミニ観覧車(20回転40ルピー)、吹き矢や輪投げなど。


Chams (Mask Dance)

Chamは僧院で僧侶が行うドラマ・ダンス。通常、年に一度、各ゴンパで披露される。基本的には冬のイベントだが、へミスゴンパを含め夏に執り行う僧院もある。仏教の話を基に、僧侶が衣装を身につけ踊る。仮面をつけたものが多い。

場所はメインバザールのChowkhang ゴンパ。朝10時スタートで、期間中ほぼ一日おき、計5回催される。踊りは中庭で寺院の建物を背に行われるので、観客は正面の階段状の客席に座る。 Chamは、ただの踊りではなく、事前の儀式などもあるようで、実際に始まったのは11時ごろ。それを知ってかどうか遅れてやってくる団体観光客がたくさんいた。しかし、すでに満員状態なので、横から立ち見するしかない。

ダンスは3,4種類披露され、半分は仮面をつけた踊り。残念ながら、どの踊りがどのストーリー、またはどのゴンパのものなのかわからない。ここでもアツァラ(道化師)が大活躍で、出し物の間にひょうきな振る舞いをして場内を盛り上げていた。最前列は特に要注意で、油断していると、足をすくわれてひっくり返される。
写真: 上: マスクダンス。 左:ゴツイ仮面をつけたアツァラ。右:仮面なしの踊り

写真スポット: 大半のダンスは中庭の中央近く(旗の回り)で行われるので、正面の階段席の3段目までをゲットしておきたい。それ以上は木の枝や人の頭が邪魔になる可能性がある。また、寺院の階段の両サイドに雨よけのような場所があり、ここにも座れる。ここからだと、正面の観客席を背景に写真が撮れる。ほとんどのダンスはクルクル回りながら踊るので、どちらが正面ということはない。

補足

  • 同じ会場で、タンカの展示も行われている。
  • ダンス中の手拍子、拍手は厳禁。
  • 踊りが始まるまで、女性のアナウンサーがChamについて解説したり、イベントの案内をしたりして間をつないでいた。

Polo Match

ポロはラダックで人気の観戦スポーツ。試合は、レーのポログラウンドで午後4時からスタート。期間中6回、ほぼ一日おきに開催。

グラウンドの両サイドには階段状の席があり、観客はそこから暑い声援を送る。屋根のある西側観客席には、プラスチック椅子が並べられ、そこで座って見ることもできる。ポロの試合は、他のイベントと違い、地元の人達も大勢詰め掛けている。

ポログラウンドはやや開けた場所にあり、北側にレー王宮やツェモ・ゴンパ、西側にストック・カングリなどの雪山がよく見える。その位置関係から、レー王宮が学校の校舎、ポログラウンドが運動場に見えなくもない。普段は、バスの駐車場や野良犬の遊び場になっており、試合中にポニーに混ざって犬も駆けずり回っていた。

試合は、定時より5分ほど遅れてスタート。広いグラウンドを馬と選手達が縦横無尽に駆け巡る。細かいルールはよく分からないが、基本的にはホッケーやサッカーと同じようなものだろう。選手は、観客の存在などお構いなしで、客席のすぐ近くでも激しい攻防を繰り広げる。空振りが多く、あまりレベルが高いようには見えないが、迫力は十分伝わってきた。試合は、休憩を挟んで20分ずつで、だいたい5時ごろには終了。ラダック語での実況つき。

写真: 一番上: 背後に王宮。二番目: 背後に6000m級の山、三番目: スピード感あり。

 

写真スポット:  おすすめはゴール裏で立って観戦。観客席のある横側からだと速い展開についていけない。また、レー王宮を背景に写真が撮れるのもここだけ。試合前や休憩中に選手が待機するのもこのエリア。ただし、ゴール時は危険でボールと馬がすごい勢いで突っ込んでくる

補足

  • 速くて強いザンスカール・ポニーが使用される。

Archery

ポロと並んで人気のスポーツがアーチェリー。冬には大きな大会も開かれるという。ただ、村祭りの場合、競技というよりは余興の要素が強い。期間中、午前10時より、近郊の村、SabooかSheyで行われる。計4回。

公共バスを使い、Sheyの会場に行ってみた。 場所は、シェイ・ゴンパとは道路を挟んで反対側のピクニック場。時間前に着いたが、グループ客が2組いるだけで人もまばら。30分ほど過ぎてからやっと準備が始まった。的は20メートルほど先の盛り土の上に置かれた板。民族服を着た男性達が並んで矢を打ち始める。点数を争っている様子はなく、的に当たれば喜ぶ。観衆も少なく、淡々と事が進む。

しばらくするとアーチェリーはお休み。すぐ隣の宴会場で見物していた女性達が加わって、ラダックダンスを始める。踊りが終わると、アーチェリーを再開する。この繰り返し。見物客は少なく、ガイドを連れた観光客が、たまに車でやってきては少し見て去っていく。どうも他のイベントと違い、ここでのんびりやってるから立ち寄ってね、という感じみたいだ。

このようなまったりムードのため、見物客も頼めば矢を打たせてもらえる。ある時は軍人や身分の高そうな人がやってきて、試し打ちをして偉そうに帰っていった。打った矢は誰かが回収しなければならないので、少し申し訳ない気がしたが、私も2,3発打たせてもらった。


写真: 左: 的は20m先。右: 踊り

補足

  • シェイへの行き方: ティクセへのバスが30分おきに出ているので、それに乗ってシェイ・ゴンパ入り口の少し前で下車。約30分。15ルピー。
  • 室内スタジアムがポログラウンド近くにある。

Road Show

6日目の夜、Road Showという名のパレードが行われる。場所は再びメインバザール。7時から開始なのだが、キャンセルされたかと思うほど見物客が少なく、車の往来もいつも通りだ。時間になると、メインバザールの店の裏側から、突然ラダッキーがが出てきてパレードの開始。VANに先導されて4,5組の民族服を着たグループが、通りを練り歩く。一旦パレードが始まると、通りはカメラを持った観光客でいっぱいになった。各グループは、少し歩いては止まり、笛や太鼓に合わせて踊りを披露する。これを繰り返しながらメインバザールを進んでいく。パレードはメインバザールがOld Leh Roadに突き当たるところで終了。約45分。文字通り、メインバザールの端から端までのパレードであった。踊りや踊り手は初日と大差なく、初日を見逃した人向けとも取れるし、夜バージョンといえなくもない。初日のように街をあげてのイベントという感じはないが、熱心な見物客も多く華やかさは感じられた。


写真: 左:踊りながら歩いて、右: 止まって輪になっ て踊る

補足

コンサート、演劇

チョグラムサルの少し先にある、インダス川沿いの広場、Sindu Ghat。ここでは、夜7:30から歌や踊りのショー、演劇などが行われる。

Music Concert

Music Concertと名づけられた歌と踊りのショー。ほぼ一日おき、計5回。 

VANを乗り継いで行ってみた。開始30分前の時点でまだガラガラで席は選び放題。しかし、車やタクシーで駆けつける客が増えるにつれ、だんだん席が埋まってくる。この会場には問題があり、ステージと客席が離れすぎている。軽く30メートルはあるだろうか。2段ある客席の、それぞれ1,2列目に座らなければ、前の人の頭が邪魔でよく見れない。9月のレーの夜は結構寒く、川沿いの開けた場所ということもあり、風も強い。

コンサートの内容は、開会式で見た踊りとほぼ同じで、一組ずつステージに上がり、踊りを披露していく。すでに同様のダンスを見ている人にとっては、特に目新しいものはない。ステージの遠さと寒さから、30分ほどで撤退した。


写真: 左: レー王宮の壁紙をバックに歌と踊り。強風で後ろのシートが吹き飛びそうになる。 右: 構造上、川沿いのステージと、屋根つきの客席は遠い。

Theatre Show

ラダックの劇団による演劇。こちらは一回のみの公演(9/9)。 ストーリーは、シンデレラをラダック風にアレンジしたもので、題名は主人公の名前をとってスマナ。約1時間20分の公演で、使用言語はラダック語。観客も大半が地元の人で、正直、ラダック語が分からない観客にはつらい。

7:30開始だが、30分前は人も少なく、席も選び放題。例によって、時間になると立ち見も出る盛況ぶり。今回は、コンサートと違い、プラスチック椅子がステージの目の前に並べられている。今日も風が強く、非常に寒い。

スマナ役は小柄で幸薄そうな女性が演じる。シンデレラ探しの鍵は、靴ではなく指輪。セットはなく、マイクもステージ上の2,3本のスタンドマイクのみで、風の音もたっぷり拾ってくれる。ただ、衣装は立派。劇団員十数人による熱演だが、高校の演劇部的なアマチュア感は否めない。そういうのがいいといえばそれまでだが。


写真: 左: 主役の女性 右: 男性俳優陣。

補足

  • Sindu Ghatの行き方: チョグラムサルより先に向かうバスや乗り合いVANを見つけて乗るか、とりあえずチョグラムサルまで行き、そこからさらに先に向かうバスやVANに乗り換える。計、15-30ルピー。帰りは客を乗せてきたVANタクシーをチャーターしてレーに戻った(130ルピー)が、そのようなタクシーがいつもいるとは限らない。
  • コンサート、演劇ともに、チョグラムサルから徒歩でやってくる家族が結構いる。そのせいで地元人率高め。
  • なぜかヒマチャル州の踊りを披露する組がいた。
  • ラダックの劇団 - Ladakh Theatre Organization (since 1995)

Khatok Chenmo

カトック・チェンモとは、かつて王族の為に行われていたセレモニーで、それをレー王宮で再現しようというもの。プログラム表に堂々と載っているものの、観覧には招待状が必要で、ちょっとだけ敷居が高い。実は、これがラダック・フェスティバルの裏メイン・イベントなのかも、とすこし期待する。9/10開催。

場所はレー王宮

ツーリスト・オフィスで招待状を入手した私は、会場のレーパレスに向かった。ご存知のようにレー王宮は、修復があまり進んでおらず、使える場所は限られている。私は、すぐ近くのSoma Gompaの中庭で開催されると予想していたのだが、本当に王宮内部が会場らしい。

7:30開始予定で、6:40入場開始。入り口では、槍を持った門番みたいな人達が観客を向かえ入れる。会場の中庭はまだ準備中であまり人はいない。3階に登ると、奥の部屋で軽い歓迎ショーのようなものが開かれていた。私を含めた観光客数名ににバター茶が振舞われる。よく見ると太鼓叩きが部屋の端にスタンバっており、いつの間にか歓迎の踊りが始まった。

3階のバルコニーや隣の建物の屋上にはプラスチック椅子が置かれており、ここから中庭で行われるイベントを見ることができる。最初は、ここに席を確保していたが、後で下に座っていいことを知り、中庭に向かった。


写真: 左: 三階の部屋でバター茶が振舞われた。 右: 中庭の奥側に観光客用の席が並ぶ。その手前でいろいろ行われる。

選ばれし者の...恍惚なし


  3階、4階、屋上まで人が溢れる。この位置からは、同じ建物の王様は見えない。

開始20分前になっても客はまばら。招待客はあまり多くないらしい。見物客が座っていいのは、王宮の建物から一番遠い場所。つまり中庭の塀の手前。机と塀との間に2列ほど人が座れる。この時点では、特別なショーを少数の招待客だけで見るということで、”選ばれし者”感をちょっとだけ感じていた。  

7:30を過ぎたあたりから様子が変わってきた。いつの間にか、3階の観客席は人でいっぱいで、4階の上まであふれている。中庭にも客が押し寄せてきて、本来席でない場所にも人が座りだした。ついには、"最前列"のはずの我々前に今頃やってきた外国人グループが白々しく座り、そのさらに前に韓国人の団体客が当然のような顔をして座る。ほとんど踊りのスペースにまで人が占拠している。なんとか会場を整理し終わったあたりで、ようやくイベントがスタートした。

王を探せ


  写真: 2階に座る王様と、一番偉い家来

8:00ごろ王様が派手に入場。二階正面の部屋に座り、ショーを見物する。当時は、さらに他の国の王様やラマなどの来賓も招かれ、隣の建物に席が用意されたらしい。ハンサムな王様の顔をよく見てみると、..あれ、どっかで見たような...。 そう、先日のSindu Ghatの演劇の王様役の男性にそっくりなのだ。その件について、隣のローカルに聞いてみると、やはり彼は役者だった。本物のラダック王国の末裔は、向かって右側2階の部屋からショーを見守っている。立ち上がって覗いてみると、確かに銀髪の男性が少し奥の椅子に腰掛け見物している。

招待状をよく見ると、確かに「主賓にRaja Jitmet Wangkok Namgyalが来ます」と書いてある。進行役の女性アナウンスでは、「王の許可の元、----のパフォーマンスを執り行います。」と何とも微妙な言い回しをしている。 現在の王族について知識のない観光客の半数は、このことに気づいてないようだ。


写真: 左: 2階から見物する王様。 右: 昨日は王子役でシンデレラを探す。

宴会も再現

肝心の儀式の内容はというと、火を囲んで、各種の踊りが行われる。それを、さらに外側から観光客が見る。いつもの踊りに加え、黄金の水差しを頭に載せての踊りなど変わった物もいくつか披露された。全体的に娯楽性が強く、宴会を兼ねた儀式といえなくもない。基本的に、王様に向かって踊りや儀式が行われるので、私の席からは背中しか見えず、何が起こっているのかよくわからない。

見物客はこの擬似宴会の参加者でもあるので、儀式の最中、チャイ、地酒のチャンやクッキー菓子が振舞われた。特にチャンは大人気で、言えば何度でも来て注いでくれる。味は果実酒のような味で、常温でいただく。最後のほうになると、観客席はチャンの飲み会のような雰囲気になり、知らない者同士、和気あいあいと盛りあがっていった。

9時を過ぎたころ、団体客が抜け、混雑が解消された。9:30になると、王様が降りてきて、豪快に火の矢を外に向けて放つ。そして兵士達が灰のようなものを巻き、セレモニーは終了した。

補足

  • Soma Gompa - 毎晩、ラダックの歌とダンスのショーが開かれている。レー王宮すぐ下。
  • チャンは市販されておらず、どの家でも作っているわけではないので、飲める機会は少ない。

  • Khato Chenmoの様子を伝えるニュース
  • 王の名前はRaja Jigmet Wangchuk Namgyal とも表記される。

招待状

  • 本来は必要。団体のツアー客などに配られる。私の場合、エアポートロードのツーリスト・オフィスに立ち寄った時、オフィスの長官に直接もらった。招待状の入った封筒が30枚ほど山積みになっており、それをひとつもらい、封筒に自分の名前を書くように言われた。
  • 王宮入り口の門番役の男性も、招待状が必要だと言っていたが、結局チェックなく、中に入れた。私が招待状を持っていることを事前に伝えていたせいかもしれない。
  • どう見ても招待状なしで入場しているような人が沢山いたので、近くのアメリカ人女性に聞いてみると、「7:30に来た。招待状はなかったが、観光客や外国人なら誰でも中に入れてもらえた」とのこと。やはりラダック・フェスティバルでは、「観光客は神様」らしい。
  • 門番達。ちゃんとチェックしろよ!!

席取合戦

結局、どの席がベストなのだろうか。

  • 3階のバルコニーなどの席は、中庭全体が見渡せるが、少々体を乗り出す必要がある。上からなので、角度がありすぎて、細かいところがわかりにくい。
  • 中庭の奥側の観客席: もともと観覧用の席なので、机もあり便利。飲み物も頻繁に運んできてくれる。手前の不法占拠組とは机で隔てられているため、あまり窮屈ではない。ただ、イベントを後ろからしか見られないのが残念。後ろの塀に腰掛ければ、比較的全体が見えて写真も撮りやすい。ただ、危険なため、たまに座るよう注意される。
  • 不法占拠席: 踊りや儀式を一番近くで見れるが、やはり後ろからなので、それほどいい席とも言えない。コップを置く机もなく、ギュウギュウに詰め込んで座っているため、それほど居心地はよくない。
  • 入り口付近の立ち見客: 角度的にイベントの様子が正面に近い角度から見える。ただ、立ち見なので何かと不便が多い。特に、自分より前に人に立たれたら最悪。
  • 王様の部屋の真下: 一番いい席。ただ、この席は儀式の参加者用。観客用ではないので、移動させられる。
  • 結局、どの席も一長一短で、勝者なき関取合戦に終わった。

感想

結局、閉会式を除いてすべて参加した。正直、初日とレー王宮でのイベント以外は、特別感がなく、わざわざ滞在日程を変更してまで見る価値はない。それでも高地のポロだ、マスクダンスだと言われると興味が沸いてくるから不思議だ。観光客は、圧倒的に欧米人で、アジア系は少ない。驚いたのは一眼レフカメラ所有率の高さ。フォトジェニックな民族衣装やスピリチュアルな文化を求めてわざわざラダックまで来ているのだがら十分理解できる。その手の人はより良い写真を撮るのに忙しく、イベントそのものを楽しむ余裕はあまりない。ラダック・フェスティバルという文化のショーケースは、写真好きのツーリストのために存在しているような気がしてならない。

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