スリナガルを攻略 - ハウスボート編

スリナガルといえば、印パ紛争地帯であるカシミアの中心都市。外務省が「渡航の延期」をおすすめしている場所である。英国統治時代からの避暑地で、観光の目玉は湖に浮かぶ船形のホテル - ハウスボードだ。詐欺の話ばかり聞かされるハウスボードだが、実際のところどうなのだろうか。


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地域: インド - 北インド
ジャンル:  ホテル

旅行時期: 2009年9月中旬
為替: 1ルピー = 1.87円
作成日: 2010.03.01

目次


House Boat 概論

ハウスボート or ボートハウス

ハウスボート,直訳すると、住居(ホテル)の機能をもった船。南インドのケララにも同じくハウスボートと呼ばれるクルージング船があるが、それとは全く異なる。ケララのボートの場合、船としての機能を備えた上で、キッチン、リビングや寝室をつけている。一方、こちらのボートは船の形をした家(ボート・ハウス)で、エンジンは付いていない。普段は、与えらた場所から動かないように杭などで固定されている。
写真: 左: ハウスボート(スリナガル), 右: ハウスボート(ケララ)

始まりはやはりBritish

最初のハウスボートが作られたのが1888年。当時、英国人は陸の上に建物を造ることを許可されていなかった。英国が統治者のはずだが、内政は現地の王に委ねられていたので、そうなっていた。彼らが苦肉の策で作った水上家屋がハウスボートの始まり。今でも、リビングの調度品などに英国スタイルのエッセンスが残されている。その後、スリナガルは避暑地として発展し、ハウスボートは観光資源へと変貌していった。

スリナガルのハウスボート事情

水上生活者の村は、世界各地にあるが、水上ホテルを観光資源にしているところは、それほど多くない。特にスリナガルの場合、その数が半端ではなく、数百隻のハウスボートがひしめき合っている。 ボートは主に、Dal Lake(600隻), Nagin Lake(100隻), Jhelum River(数十隻?)の3箇所に固まっている。 町の中心に近いダル・レイクが観光客も多く、もっともメジャーである。

20年ほど前より、パキスタンとの併合を目指す過激派の活動が活発化し治安が悪化した。それに伴い観光客が激減し、ハウスボートは供給過剰な状態にある。テロ事件はたまに起こるものの、ここ数年は比較的治安が安定しており、少しずつ客足が回復しつつある。

施設と料金

施設は、普通のホテルと大差なく、部屋には寝室、バス、トイレが付いている。一つの船につき、部屋は2,3室の場合が多く、それとは別にダイニングや居間などの共有スペースが必ず1つはある。部屋のグレードは、AからD、それにデラックスの5クラスに分けられており、それぞれに公示料金が決められている。室内設備に大きな差はなく、部屋の大きさと装飾が主な違い。また、食事付かどうかで4種類に分かれ、同じ部屋でも料金が違ってくる。 実際には、この公定料金はあまり機能しておらず、結局はオーナーの相場観+損得勘定で価格がきまる。 オフシーズンの場合、最低でも5割引からスタートし、とにかく客が欲しいオーナーはどんどんディスカウントしてくる。特に、デラックス・クラスの割引率は大きい。

ハウスボート・エクスペリエンス

ハウスボートにはいくつもの顔がある。テラスやバルコニーが一列に並んだ"高級"ボート通りは、一見水上レストラン街のようであり、ボートや家が狭い間隔で並ぶエリアは、運河の街のようでもある。環境のいいナギン湖周辺のボートは湖畔のコッテージのようであり、ジェラム川やダルレイク西岸の安めのボートは、水上生活者地帯にまぎれこんだような経験ができる。

詐欺の話

長距離バスやジープから降りた瞬間、ハウスボートの客引きに囲まれることになる。ダルレーク周辺を歩こうものなら、10メートル置きに、ハウスボートや湖のボート・トリップに勧誘される。ハウスボートで有名な詐欺は2つあり、ひとつは、デリーのコンノートプレースなどで奇麗なパンフレットに釣られて、割高なパッケージを組んで来てしまった人。値段不相応なボートに泊められたり、周辺の観光地への”割高”なオプショナルツアーに誘われる。最後まで現地相場を知らずに帰国し、騙されたと感じない人も多い。もう一つは、激安価格で誘っておいて、後からいろいろ追加料金を請求したり、ドラッグなど別の方法で儲けようとするもの。両者とも、経験したことがないので詳しいことはわからない。

ハウスボート事情1

船の構造

  • ボートの構造をあえて例えると、ケララがキャンピングカーで、スリナガルが水上レストラン。
  • ハウスボートは今買うと、2ベッドルームの標準的なもので、45-60Lakh(900万-1200万)くらい。木材が高く、1平方メートル当り 4万ルピー(8万円)近くする。いい木を使わないと、劣化が速い。ボートは90年持つという人もいる。
  • ハウスボートの多くは築20年以上経っているが、状態がよく古さは感じない。基本的に、床板を張り替えるくらいで、修繕はあまり必要ない。
  • ハウスボートの移動: 近場で水深が浅ければ人力で、遠ければモーターボートで。
  • 揺れ: 湖に流れはないので、全く揺れない。ハウスボートが小さい場合、誰かがボートに飛び乗っただけで、大きな揺れを感じる。大きなボートの場合、それはないが、歩いていて木の床がきしむ感覚はある。

料金

  • ケララ: 1ベットルームの小型ハウスボートを2人で借りた場合、一日(22時間)のクルーズ、食事つきで、3000ルピー台から。相場があり、ディスカウントの余地は少ない。
  • スリナガル: 基本的にホテルなので貸しきる必要はない。オフシーズンなら、大幅な割引が可能。
  • 公示料金: 素泊まり (Delux - 1875, A - 1180, B - 830, C - 630, D - 415)
  • 食事プラン: AP(American Plan - 3食), MAP(Modified AP - 朝食/夕食), CP(Continental Plan - 朝食のみ), EP(European Plan - 食事なし)

治安

  • インドとパキスタンは停戦状態なので、越境してきて街中でテロを起こす過激派が一番の危険分子。スリナガル市内には、そこら中にインド軍兵士が立っている。
  • たまにテロ(バスの爆破など)があるという点では、スリランカやパキスタンの都市部などと大差ないかもしれない。そして、偶然にもそのテロに居合わせる確率は、交通事故に遭う確率よりずっと低い。
  • 盗難や引ったくりなど、一般的な意味での治安は、他のインドの都市と変わらない。

詐欺、客引き

  • ブルバード通りでは、片言の日本語で話しかけてくるカシミール人が大勢いる。シカラ、ハウスボートの勧誘、ショール、ジュータンのお店の店員など。大半は悪気がないが、二言目には大麻を誘ってくるタチの悪そうなのも何人かいる。
  • ハウスボートの勧誘をしている人の中には、単に商売熱心なオーナーやその友人もいて、部屋の値段も良心的だったりする。
  • 以前よく聞いたのが、パスポートを取り上げたり、船から外出させず、金を払うまで”軟禁”状態にするというもの。このケースの仕組みはよくわからない。というのも、大半のボートは岸に繋がっており、いつでも外に出ることができる。ダルレイク中心部の場合、ボートがないと外出できないが、ハウスボートが密集しているので、いつでも助けを呼べる。

House Boat 1 - Jhelum River

レーからスリナガルへ乗り合いジープでやってきた。着いた途端、数人の客引きにつきまとわれる。あまりにしつこいので、すぐそばのハウスボート組合に行くことにした。建物の中に入ると、スタッフは客引きの男達を追い払ってくれた。

ハウスボート組合

ここのオフィスでは、希望クラスや予算を伝えれば、適当なボートを紹介してくれる。安いクラスを希望すると、スタッフは、私の荷物を背負って、近くの川に向かって歩き出した。川沿いに数隻ハウスボートが並んでいる。訪問先のボートは2隻あり、Bクラス、Cクラス、デラックスと見せてもらった。Cクラスはベットがなく、Bクラスの部屋はホットシャワーが壊れている。オーナー不在のため、その組合スタッフと値段を交渉することになる。相場もよくわからなかったため、結局2泊300ルピーでBクラスの部屋に泊まることにした。公示価格が830ルピーなので、65%引きの計算だ。

そのスタッフの男は、やたらと複数日にこだわり、一泊のみだと割引に応じようとしない。おまけにチップまで要求する始末。後から思えば、数あるハウスボートの中からどのボートを紹介するかは、そのスタッフの気分次第。空港のホテル案内のように、写真付きでカタログ化されているはずもない。今回は、近場で顔見知りのオーナーのボートを紹介したに過ぎない。彼も、その辺の客引きと大差ないのだ。

リバーボートの居心地

そのボートはジェラム川(Jhelum River)に横付けされており、土手から直接歩いていける。部屋の窓を開けると目の前は川。水はキレイではないが、川幅も広く静かで落ち着ける。ベットにすわり川の様子を眺める。たまに果物や木材をのせたボートが通り過ぎるくらいで、往来は少ない。場所的に、物売りも客引きもやってこない。それはそれで寂しい気もする。正面に見える景色は、対岸の土手と建物。スリナガルまで来て、湖を避けて川に泊まるのは、どうも筋が違う気がしてきた。

ここの若いオーナーはちょっとアグレッシブな人で、やたらとデラックス・ルームへのアップグレード(+100ルピー)を勧めてくるし、毎日"今日のプラン”を聞いてくる。部屋には不満はなかったが、予定通り2日でチェックアウトすることにした。

評価

今から思えば、一泊300ルピーという値段は、ちっともお得ではない。もっと沢山のボートを見てから決めるべきだった。とはいうものの、ジェラム川では、ハウスボートが密集しているわけではないので、他の船まで歩いていくのが面倒だったりする。 安いボートはダルレイクにも沢山あるので、わざわざジェラム川に泊まる理由は見当たらない


ハウスボート組合

  • http://www.houseboatowners.org/
  • 行き方: バスターミナルやツーリスト・オフィスの反対側。ジープ乗り場すぐ近く。
  • ツーリスト・オフィス(TRC)では、ハウスボートのブッキングは行っていないが、質問に答えてくれる。
  • 組合の役割は
    • ライセンスの管理
    • オーナーの利益代弁、デモの計画。
    • 客とのトラブル(主にボッタクリ)の仲裁
  • 組合は、悪質なハウスボートを営業停止にする権限があるみたいだが、どこまで機能しているか不明。

ジェラム川

  • ジェラム川と言っても、範囲は広く、ダル湖の水門近くの狭い支流から、本流まであちこちにボートはある。全般的にボロイ船が多い。
  • マイナス点: 宿泊したボートは、軍事上重要な橋のそばにあり、近くに兵士が24時間常駐していた。そのため、ボートにたどり着くまでに2箇所ほどチェックポイントを通過しなればならない。一度名前とホテルを登録すれば、後は顔パスのはずなのだが、たまに止められやりとりするのが面倒だった。
  • 料金
    • 部屋: Bカテゴリー 1泊300ルピー

Dal Lakeを攻略

ジェラム川を離れ、ハウスボート激戦地のダルレイクに移ることにした。ダルレイクには、数百のハウスボートがあるため、的を絞った宿探しをしないと効率が悪い。まずは、全体像を理解してみたい。

上から見下ろす

ダルレイクの南側に、シャンカラチャルヤの丘があり、頂上付近にヒンドゥー寺院と電波塔が建っている。西側から30分ほどかけて登り、湖を上から眺めてみた。ダルレイクは大きな湖だが、ハウスボートがあるのは、市街地近くのエリアだけ。大部分は、”何もない湖”か畑になっている。

多くのハウスボートは新興住宅地のように、規則正しく並んでいる。特に、ブルバード通りと平行に走る3本の並びは、数百メートルにわたって伸びている。この区域のボートは、やや高めの大型ボートが中心で、安めのボートは、湖の西岸やその近くのエリアにある。

一見、ボートが固まって停泊しているように見えるが、実はその背後には、小さな島になっている土地があり人が住んでいる。ボートオーナーの家の他、集落が大きければ売店やモスクなどもある。下の写真のように、ボートが密集しているため、客室から広大な湖を眺めるという環境にはない。


   写真: ダルレイク中央付近。下から、ブルバード通り、最前列、ゴールデンレイクの両側の並び。

G-map


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エリア別に分析

水門近くから北東方面に並んで伸びるボート郡: 基本的に大型のデラックスボートが並んでいる。

  • ブルバード通りそばの、最前列のボート郡: 青いエリア。道路からは50mほど離れているが、バルコニーからの景色が道路とシャンカラチャルヤの山で趣がない。
  • Golden Lake: 黄色いエリア。広い水路を挟んで両側に並んでいる。バルコニーから見る景色は悪くないが、ボート同士が横に並んでいるので、部屋からの眺めは基本的に隣のボート。唯一の例外が、列の切れ目や端にあるボートで、ある程度開けた景色が期待できる。
  • ネール公園周辺のボード郡: 茶色いエリア。ゴールデンレイクの北側の列だけは、ネール公園まで伸びている。ネール公園を超えてからも、さらにこのボートの並びは続く。この辺りはハウスボートのないOpen Lakeエリアに近く、バルコニーからの湖の眺めはよさそうだ。シカラワラ曰く、船は"Super Delux"で、 VIP向けとのこと。また、公園から見える距離に、ウォータースポーツ用の船が4隻ほど浮いていて、水上スキーなどが楽しめる。 残念ながら、繁華街のDal Gateから遠すぎて少し不便。

西側の奥に固まるボート群: やや小型で安めのボートが並んでいる。

  • 西岸の道に沿った船: 赤いエリア。 ダルレイクの水門の橋を渡った後に、湖の西側に沿って伸びる歩道がある。道沿いに5分ほど歩くと橋があり、このあたりから安いハウスボートが並ぶ。陸と繋がっているので歩いていける上、近くにネットカフェ、商店もあり便利。一見、水上生活者の集落のような雰囲気。景色はあまり期待しないほうがいい。
  • 湖の西側エリアに点在するボート郡: 水色のエリア。西岸の安ボートと、中央の大型ボートの間に位置するボート。グレード、値段はまちまち。特に特徴はないが、整然と並んでいるわけではないので、眺めのいいボートがたまにある。

シャンカラチャルヤ

  • Shankaracharya Hill - 車やリキシャで行くか、道路か山道を登っていく。私はUNのビル(UN MOGIP)と墓地の間にあるフェンス沿いの山道から登ったが、もっといい道があるかもしれない。
  • ヒンドゥー寺院はセキュリティが厳しく、カメラや携帯電話は持ち込めない。

ダルレイク

  • サイズ.6.5km x 5km (FP)
  • 市街地から遠く離れた場所にもいくつかハウスボートがあると聞いたが、シカラで湖を周遊でもしなければ確かめようがない。いずれにせよ遠すぎて宿探しには不向き。

ハウスボート事情 2

ライセンス

  • ボートの総数は、情報源によって全然数がちがう。ロンプラ(2007)によると合計1400隻。
  • 船の名前、オーナー、等級、ライセンス期限が書かれた登録証書がハウスボート組合に保管されている。
  • 現在、新しいハウスボートのライセンスは発行さてていない。古いハウスボートを壊して、作り直すことはできる。

シーズン、運営

  • オーナーはすぐ隣の家やボートに住んでいることが多い。客の世話は、オーナー家族か、雇われ管理人がする。
  • シーズンは、4月-8月。猛暑の時期(4-6月)と雨季(7-8月)を両方カバーしている。スリナガルはモンスーンの影響をあまり受けない??
  • 冬も営業。湖は凍るが、氷を割って水路が確保される。 グルマルグへスキーに行く客などを見込める。オフシーズンではあるが、ストーブ代などがかかるため、少し割高になる
  • ある中規模ボートの宿泊記録を見せてもらった。9月の客は1組だけ。では、シーズン中はどうかというと、多い月でも3,4組。20数年前のオープン当時の記録もあったので見てみると... 今と大して変わらない。どうも、ホテルのようにフル稼働しているわけではなく、たまに客がやって来てはもてなす、というホームスティ感覚で運営されているようだ。ただ、シーズン中や昔の繁栄期は、宿泊料金の相場が上がるので、中小のボートもそれなりに恩恵を受ける。

環境

  • 水質はネギン湖 > ダル湖 >ジェラム川。ダル湖でも、人が少ないエリアは比較的きれい。ブルバード付近でも、1m下の水草や小魚が見える。
  • 鳥は、水鳥、イーグル、鳩など。水中に見えるのは小魚ばかりだが、大きな魚もおり、漁民が捕った魚を路上で売っている。
  • 雪解け水の流入などで、ダルレイクの水位は少しずつ上がる。定期的に水門を空けて、ジェラム川に水を流すので、湖の水はゆっくり入れ替わっている。ジェラム川に放流された汚水は、パキスタンに流れていく。

House Boat 2 - Golden Lake 

ハウスボート・エリアの一等地で、どこか華がある。9月はオフシーズンのため、ひょっとするといい部屋に安く泊まれるかのしれない。

角部屋を探して

シカラを雇い湖をまわる。ゴールデン・レイクの船はどれも大型で、デラックス・クラスの部屋しかない。相場は素泊まり600ルピーくらい。 景観のよさを重視して、水路の角に建つボートを中心に訪問していく。非常にいいロケーションのボートが一隻あり、部屋と眺めを確認した後、値段を聞いてみた。私はもっと沢山見てから決めるつもりだったので、だめもとで、予算は400ルピーだと伝えた。すると意外にも、オーナーの男はあっさりOKしてしまった。私の宿探しは30分もかからずに終わった。

写真: バルコニーからの広々とした眺め

デラックス・クラス

中の部屋は、文句なしのデラックス。12畳くらいの部屋にベットが2つ、ソファーが1つ。バス・トイレの横に化粧台がある。部屋の構造はジェラム川で泊まった部屋と全く同じだが、広さがすべて倍。壁板もピカピカで、天井、ベットや壁に手彫りの模様が施されている。共用の居間やダイニングはさらに豪華で、巨大なダイニング・テーブル、アンティーク風の椅子やソファーに、シャンデリラもついている。残念ながら豪華すぎて、全くくつろげない。バルコニーやテラスも広々としていて、行きかうシカラを眺めながらバカンス気分を味わうことができる。このようなマハラジャ・テイストなホテルに泊まる機会はまずないので、これは貴重な体験だ。


写真: 左:ベットルーム、右:共用の居間

水上の風景

ロケーションで宿を選んだこともあり、部屋の窓から広い水面を眺めることができる。目の前は主要水路でもあるので、沢山の船が行き来する。住民や学生を乗せたローカルボートや、物売りシカラ。湖上マーケットに向かう途中の観光客もいる。ダル湖にはエンジン付きの船はなく、すべてて手漕ぎだ。ボートはオールが水をかく音と共に、ゆっくりと水上を滑っていく。

湖上では、移動はすべて船。すぐ近くの集落に売店やモスクがあるのだが、そこへ行くにも流しのボートを捕まえなくてはならない。幸い、売店シカラが湖を行き来しているので、ハウスボートから出なくても買い物はできる。

静かさの中の騒音

ボート上の生活は平和で、時間を忘れてのんびりできる。オーナーの男は裏の自宅からめったに出てこない。住み込みの管理人兼コックの老人は、物静かでいつもバルコニーから外を眺めている。それでいて、用があるときは、テキパキと仕事をこなしてくれる執事のような存在だ。

夜のダルレイクは特に静かだ。周りのボートに客がいないのか、物音ひとつ聞こえない。ただ、これには2つ例外がある。ひとつはモスクのスピーカーからの音。湖の中の集落にも小さなモスクがあり、例によって定時になると、早朝でもガンガン合唱を流してくれる。 もうひとつは、同じボートの客。高級ボートではあるが、すべて木造のため、隣の部屋の客の会話がまる聞こえなのだ。ユニットバスのすぐ後ろに隣室のベットがあり、深夜トイレに行くのも躊躇してしまう。

評価

オフシーズンということもあり、豪華な部屋に安く泊まることができた。小規模ボートにありがちな、個人的干渉は皆無で、サービスアパートメントにでもいるような気分だった。贅沢なハウスボートを体験するが目的なら、ゴールデン・レイクの大型ボートで間違いない。

Golen Lake

  • ハウスボートの船体の木の色から、"Golden" Lakeと言われている。
  • 大型ボートのデラックスルーム相場(9月):500-800ルピー。シーズン時は、おそらく1000ルピー以上。
  • このクラスの船で、400ルピーは破格である。今思えば、オーナーはとっとと客を見つけて、他の用事に出かけたかったのかもしれない。実際、私の後に来たインド人は700ルピー払っている。
  • 他の場所の船でも、いくつかデラックス・クラスの部屋を見てきたが、部屋の大きさが全然違う。やはり船の大きさは重要。
  • 料金
    • 部屋: Delux 1泊400ルピー。
    • 食事: 一度だけ朝食。トースト20ルピー、オムレツ20ルピー、チャイ・カシミールティ(pot) 10ルピー。
    • 管理人へのチップ
  • 船から、ブルバード通りの最寄の上陸地点まで: ローカルボートで5ルピー、シカラで10-20ルピー。
  • マイナス点: ブルバードには、安い食堂や屋台があまりないので、ダルゲート付近のバザールまで歩く必要がある。船の場所によっては、これが結構遠い。同様の理由で、ツーリスト・オフィス, ATM,ネットカフェも遠い。

Shikara

  • シカラは2-3人乗り用のデラックス・手漕ぎボート。シートにもたれて、クッションの上に足を伸ばせる。ハート型のオールで漕いで進む。
  • シカラ乗り場はダル湖、ナギン湖ともに多数ある。
  • シカラの相場(ダルレイク): 周遊1時間100ルピー(公示料金は200ルピー)。ボロくて小さいシカラの場合、1時間50ルピー。 (9月の場合)
  • 観光用だけでなく、住民やハウスボート宿泊者のタクシーの役割も果たしている。10-20ルピー。
  • シカラの売り物には、アイスクリーム、野菜や果物、ジュースや菓子、アイスクリーム、日用品、工芸品、絵葉書、宝石類、など多数ある。
  • 乗れる人数が限られているので、大人数の団体の場合、シカラを3,4隻並べて運転している。
  • Boat Tripの主な訪問先。Lotus Garden, Floating Garden, Market , Vegitable Market,ネール公園など。
  • 新品のシカラの相場は90000ルピー(20万円弱)。リースではなく、購入が主流。
  • シカラ工房

House Boat 3 -ダルレイク 西側

ダルレイクは懐が深く、Golden Lakeのような小金持ち向けの物件だけでなく、"価格"や"アットホームさ"を重視する長期旅行者向けのボートも充実している。その多くは、湖の西側に固まっており、ダルレイクの入り口で会う客引きの言い値がやたらと安いのも、そういう理由からだ。

ドゥンガ

このエリアには、ハウスボートとは一線を画す、ドゥンガという住居用の船もちらほら見られる。ドゥンガの外見的は特徴としては、通常のハウスボートより小さい、天井が低い、屋根が三角形、窓に装飾がなく引き戸に近い、船先がせまい、船の中に廊下がない、船の周りに板の通路がない、などがある。すべて必要条件ではないが、一目でハウスボートと区別がつく。

ドゥンガは普通、オーナー家族や現地人の住居として使われる。中には、部屋をちゃんと内装して、ハウスボートとして営業しているドゥンガもある。他のボロいハウスボートと比べ特に安いわけではないが、船体が小さいので味がある。

ダルレイクの安宿街

ダルレイクの西側の岸には、安そうなハウスボートが並ぶ通りがある。この辺りは水上生活者ゲットーのような佇まいで、オーナー家族のドゥンガとゲスト用のハウスボートが入り乱れて並んでいる。ブルバードで声をかけてきたおじさんのボートもこの安ボート街の並びにあった。

一泊50ルピーという価格に釣られて、部屋を見学に行く。ボートはドゥンガ船。部屋は広くないが、ダブルベットでバス・トイレ付き(hot showerはバケツ、トイレは和式)の普通の部屋だ。一応、船にバルコニーはあるが、この船の手前に別のドゥンガ船があり、景色はない。手前の船の部屋はホットシャワー付きということもあり、一泊150ルピー。朝晩二食付けるとプラス200ルピー。激安価格のボートでさえ、原価のかかる食事部分は、それほど値引きできない。


写真: 左: 安宿街の風景 右: 50ルピーの部屋

このオジサンは経験豊富なトレッキング・ガイドで、話していてその誠実さが伝わってくる。まだ幼い子供が2人おり、船と船を行き来して遊んでいる。タダ同然の価格について聞いてみると、「イード(ラマダン明けの祭)が近いので、少しでもお金を稼ぎたい」「今年は、まだこの子に一度も新しい服を買ってやってなくてね...」としんみりくる話をしてくれた。このハウスボートのように台所事情の苦しいところは山ほどあるに違いない。

湖の中の池

ハウスボートの多くは、水路沿いにきれいに一列に並んでいることが多い。 一方、ダル湖の東側に、その法則に従わず、バラバラに並んでいるエリアがある。ある船は北を向き、ある船は西に向いている。ブルバードの客引きに紹介されたハウスボートはそのエリアの一角にあった。目の前は複数の水路の合流する場所らしく、池のように広々としていた。

部屋はデラックス(6畳強)で、素泊まり150ルピー。朝夕の食事をつけて300ルピー。これはオフシーズン料金で、シーズン中は500ルピーになる。

 

今回は食事付を選択した。朝はパンとカシミール・ティー。夜は、ご飯、ダルスープ、ポテトやカリフラワーを塩こしょうで味付けしたものが中心。オーナー家族の女性陣が食事を作り、男性兄弟が客の世話をする。手が空いていれば岸まで送ってくれるし、話し相手にもなってくれる。アットホームでかつフルサービス。それでいて、ちょっと安め。ゴールデン・レイクがシティホテルだとすれば、西側の中小ハウスボートは民宿と言えるかもしれない。

写真: 上: 水深のせいか、目の前に他のハウスボートなし。 下: いつも一人で食事したダイニング。ちょうどいい広さ。

評価

ほどんどの中小ハウスボートは、オーナー家族で切り盛りしている。そのため下宿感覚が味わえる。ゲスト・コメントブックを読むと、1,2週間の長期滞在する人がそこそこいるみたいだ。スリナガルのハウスボートは隠れた沈没地なのかもしれない。小規模ハウスボートに"ハウスボート滞在"の基本形を見た。

ダルレイク 西側

  • 安めのボートの相場(9月)。素泊まり150-200くらい。食事つきで300-400?
  • 料金: (湖の中の池)
    • 部屋: 1泊300ルピー
    • 朝食(パン、ティー、オムレツ),夕食(veg)が付く。
  • 船から、ブルバード通りの最寄の上陸地点まで: ローカルボートで5ルピー、シカラで10-20ルピー
  • マイナス点: 夕方から夜にかけて蚊が多い。すぐ横に林と浅瀬があったのが原因かもしれない。

ドゥンガ

  • ダルレイク西側の他、ジェラム川に多く見られる。
  • 住居用ドゥンガ: 私が見たボートの場合、部屋のレイアウトは、船先に続いて、3つほど4畳半弱の部屋が並び、3畳ほどのキッチン、最後に物置スペースとなっていた。もしトイレもあるとすれば船尾のスペースだろう。部屋と部屋は中央のドアのない出入り口でつながっている。家具などはほとんどなく、床に座り、壁にもたれてくつろぐ。三角形の天井は意外と落ち着き、ノスタルジックな感じがした。

  • ハウスボート用ドゥンガ: 各部屋にバスルームを追加したり、バルコニー用の屋根を設置したりする。また、バルコニー側の部屋にソファーを置いてビングルームをつくる。

ハウスボート事情 3

設備

  • 一般的なハウスボートの構造は、船先から、バルコニー、居間、ダイニング、屋根の上への階段、細長いキッチン、客室、となっている。小さめのボートでは、居間とダイニングがひとつの部屋だったりする。部屋数は2,3室が多く、最後尾の部屋は、廊下がない分少し広い。また船の外側に細い板の通路があり、窓の外をぐるっと歩けるようになっている。
  • 屋上: 階段を登り、トタンの屋根を空けると、屋上。見晴らしがいい。船によっては屋上に、テント屋根の展望スペースがあるところもある。
  • 浴室: バスタブ付のユニットバス。こでも床や壁に木材が使われている。床とバスタブの周りのみ防水シートで覆ってある。
  • トイレ: 洋式で簡易ウォシュレット付きが多い。安い部屋は和式。
  • 日除け: 管理人が部屋の窓やバルコニーに設置してくれる。

インフラ

  • 電気: 電線からきている。停電が、一日1,2時間程度ある。
  • 水道: ダルレイクの場合、湖の中に水道管が走っていて、ホースなど、何らかの方法で取り込んでいる。定期的に、モーターを使って屋根の上のタンクに水を上げ補充している。
  • ガス: 調理用に小型のガスボンベを使用。電気コイルを使用する家庭もある。
  • ホットシャワー: パイプから。船の後ろにボイラーがあり、一日一回程度、電気や薪で沸かしている。安い部屋はバケツ。
  • コンセント: 見学したどの部屋にもあった。丸2ピンのものが多い。

 


House Boat 4 - Nagin Lake 

ダル湖に次ぐハウスボートの拠点がナギン湖。市街地から遠いので、ダルレイクほどツーリスティックでないのが特徴だ。そんなナギン湖の実力を探りに出かけることにした。 

ナギンレイク概論

ダル湖の北西に位置するナギン湖。ダル湖のように騒がしくなくのんびりできる。湖自体はダル湖のほうがはるかに大きいが、ボートが密集しすぎて広々とした景色は望めない。 一方ナギン湖は、ハウスボードが湖の周りをゆったりとした間隔で並んでおり、各ボードのバルコニーからは、湖全体が見渡せる。また、ナギン湖は湖に住んでいる人が少ないので水もダル湖ほど汚れていない。ハウスボートは、湖の東西の両岸に固まっている。

東側の中心

バスでDal Gateからナギン湖に向かう。20分ほど経つと、左側に湖が見えてくる。橋を超えて、商店が増えて来た辺りでバスを降りる。湖へ続く土の道があるので進んでいく。ネギン湖のボートはすべて陸に繋がっていて、船が邪魔で湖が見えない。湖を見るには、ボートのバルコニーに入れてもらうか、船がない辺りまで歩かなければならない。

ボートのエリアに近づくなり、コーカサスの血の入ったボート・オーナーが話しかけてきた。他にあてもないので、中を見せてもらうことにした。 ここでは、ボートを2隻保有しており、それぞれ3食付で600ルピー。ここの売りは、小さいほうの船には、一部屋しかないこと。つまり、バルコニーもダイニングも居間も、すべて自分専用。一般的に、ハウスボートには、せいぜい2,3室しかないので、オフシーズンでは貸切状態のようなものだが、それが保障されているというわけだ。

湖の向こう側には、西岸に並ぶハウスボートとHari Parbat フォートが見える。 ダル湖と違い、シカラも観光客も少なくひっそりとしている。ナギン湖の場合、東側の道路沿いに商店が少しあるくらいで、近くにレストランなどない。よって食事付のパッケージが主流になる。そのボート・オーナーは、「うちはリクエストに応じて何でも作る」と胸を張った。ピザでも中華でも何でも対応できるらしい。

東側、橋のすぐ近く

ボートの数が少なめのナギン湖では、陸に横向きで停泊しているボートがいくつかある。その多くは、東側の橋の近くにあり、アクセスは悪くない。ダルレイクではほどんど見かけなかった"Lake View"の部屋がこちらでは可能なわけだ。 "東側の中心"からさほど遠くないので、歩いて向かった。

橋の下には、ボートが4,5隻あり、すべて岸に横向きに並んでいる。一軒のハウスボートに入り値段を聞いてみると、デラックスクラスで400ルピー、食事をつけると600ルピーとのこと。 確かに部屋の窓から湖が見えるものの、ベットやテーブルの位置、窓の高さが、Lake Viewを意識して配置されているわけではない。逆に、バルコニーは隣のボートのお尻に向くことになるので、あまり使い勝手はよくない。こう考えると、ボートの向きにこだわるのは、あまり意味がないのかもしれない。

訪問したボートは、客室が南西に向いているようで、午後は窓に日除けの布がかかりっぱなし。さらに、道路がすぐ近くなので車の音がうるさい。期待とは逆に、魅力に乏しいボートであった。

西側

最後に湖の西側を視察。訳あって、シカラ(100ルピー)で横断せずに、オートリキシャ(50ルピー)で、湖の北側からぐるっと回って移動した。西側も、東側と変わらず、多数のボートがある。

私が訪れた場所は、ハウスボートの裏の丘が公園になっており、見晴らしがいい。湖の東側に高い山があるため、西岸から見たほうが景色がダイナミックといえる。この眺めなら、"インドのスイス"というキャッチフレーズも、なんとか許せる。

ただ、交通の便はよくない。東側が、Dal Gate行きのバスが通る道路まで、1-5分で行けるのに対し、西側は15-20分程度歩く必要がある。"アクセスは悪いが、景色がいい”ということで、 パッケージ・ツアー向きといえる。実際、高級そうなハウスボートに香港人の団体が泊まっていた。

公園でくつろいでいると、近くにハウスボートを持つ青年が話しかけてきた。「とにかく一目見てくれ」と懇願され、ついて行くことにした。彼が持つ3隻のボートは、そのハイソな公園を抜けた、さらに南にあった。船が古いので外観はさえないが、中はAクラスでちゃんとしている。料金は、朝夜2食付きで、300? ルピー。食事は、彼の母親と妹が作ってくれ、メニューもある程度指定できる。蓮に囲まれたのどかなボートで、実際、白人女性が沈没していた。

評価

その景色や雰囲気から、ネパールのポカラを少し似ているかもしれない。見学したどのハウスボートもオーナーに熱心に誘われた。値段も施設も悪くなく、景色もダルレイクよりずっといい。それでも、一泊もしなかったのは、私が利便性に重きを置いているというのと、ここに移ると長居しそうな予感がしたからかもしれない。ボート自体はダルレイクと何ら変わりないが、湖畔のコッテージ的な雰囲気が味わえ、スロートラベル向きの場所といえるかもしれない。

ナギン湖

  • ダル湖からシカラで2時間。湖はつながっている。
  • シカラの物売りはいるが、一日4,5回近くに寄る程度。湖を周回している。
  • シカラの相場(予想): 一時間150-200ルピー。
  • 湖の真ん中に人が住んでいる訳ではないので、ローカル ボートの行き来もほとんどない
  • 静かなネギン湖もモスクの音声からは逃れられない。

東側中心

  • 行き方: ダル湖の水門前の道でダルガ(ハズラトバル)行きのバスに乗り途中下車。 5ルピー。本数多し。
  • メインロード上にネットカフェあり。
  • おそらく、ネギン湖でもっともメジャーな場所。
  • 1部屋ボートは、ドゥンガを改造したものが多い。というのも、ハウスボートは高額なので、1部屋じゃ採算が取れない。

東側橋近く

  • 行き方: 東側中心と同じ。橋で降りる。
  • ここからダル・レイクに続く水路は、一面蓮の葉で覆われていて、最もきれいな場所のひとつ。
  • ネギン湖でも、ここ以外の場所は、"縦置き"が主流で、バルコニーか屋上でないと、湖が見えない。ただ、船と船の間隔は広め。

西側

  • 西側はアクセスが悪いので、東側までバスで来て、シカラやボートで湖を渡るのが便利。 ハウスボートが決まっていれば、オーナーが運賃を払ってくれるか、無料で送迎してくれる。ただ渡る場合、100ルピー程度。
  • 西日が当たらないのも大きなアドバンテージ。
  • 冬、正面の山に雪が積もれば、さぞかしいい景色だろう。

ハウスボート事情 4

サービス

  • 食事:ある程度メニューを指定できる所と、おまかせの所がある。食事なしの契約でも全く問題ない。カシミール茶をサービスで出してくれる所も多い。
  • ボート送迎:ハウスボートによっては、家のボートで岸まで送ってくれる。帰りは自前。
  • ランドリー: 毎朝、船で集めに来るらしい。値段は高め。オーナー家族が洗濯する所もある
  • ジュース、菓子: 最寄の売店にボートで行くか、売店シカラが通るのを待つ。ハウスボートの冷蔵庫に入っている場合もある。いずれにせよ5ルピーほど割高なので、町で買って持ち帰ったほうがいい。
  • シカラの訪問販売: 部屋にいれば断れるが、バルコニーにいると、勝手に上がってくるので断れない。宿の人も、彼らの懐ぐあいを知っている上、顔見知りなので、むげに追い払えない。

汚水

  • 汚水、ごみ: トイレやバスルームからの水は、湖に垂れ流しが多い。トイレのみタンクに溜める船もある。生ごみなどは、ごみ収集ボート??が回収していく。
  • どうも、トイレ垂れ流しの事は、客には知られたくないようだ。正直に教えてくれたのは、Golden Lakeのオーナーくらいで、"湖の中の池"の客引きやオーナーはタンクを設置していると嘘をついていた。
  • ある日、自分の部屋の横に、直径7cmくらいのパイプと直径3cmくらいの水道管が床の下から外に突き出しているのに気づいた。試しに洗面所の水を流すと、小さいほうの管から水が流れた。バスタブに水を流すと、船の逆側のほうの管から水が出てきた。最後にトイレを使った後に水を流すと、大きいほうのパイプから、黄色い水がどっさり流れ出てきた。汚水や汚物はすぐに沈むようで、水面は何事もなかったようにきれいなままだった。
  • 床下のパイプ

手前:洗面所の排水, 奥:細い管 - トイレへ水を供給。太い管 - トイレからの排水。

昔の話、未来の話

  • 絵葉書売りのシカラから、スリナガルの観光案内を買ってみた。見た目20年以上前の写真が使われている。ダル湖に浮かぶボートの様子も、ベジタブル・マーケットの様子も、周りの庭園や寺院の様子も、写真の質が昔風なだけで、今と何一つ変わっていない。スリナガルには、インド有数の観光都市として、これからも細く長く繁栄していただきたい。


評価まとめ

独断と想像で評価すると、

場 所位置アクセス価格景 色利便性
ダル湖 西岸良:徒歩安めダメ 良い
西側エリア 普:ボートいろいろOK 普通
ゴールデンレイク 普:ボート高めまあまあ 場所による
南側最前列 普:ボート高めOK 場所による
ネール公園辺り悪:ボート高め 良いダメ
ナギン湖 東側中央良:バス+徒歩普通 良いOK
東側橋付近良:バス+徒歩普通 良いOK
西側悪:バス+ボートいろいろ ベストダメ
ジェラム川両岸良:徒歩安め ダメ場所による
スケール: ベスト > 良い > 普通 > OK > ダメ

最後に

一旦、ハウスボートを選択するとつい長居してしまう。特に不満もないため、他を探そうという気分になりにくい。それでも、試してみたいボートは、まだ山ほどありきりがない。もっと魅力的なボートが湖のどこかにあるかもしれない。ハウスボートの評価は、人というソフトの要素も絡んでくるのでなかなか難しい。さらに攻略するには、もう1,2ヶ月必要だ。

残念ながら、パキスタン旅行が控えているため、スリナガルを去らねばならない。このころには、スリナガルが"渡航の延期"を提案されている場所だというのをすっかり忘れていた。外務省の危険情報が緩和され、スリナガルが地球の歩き方に復活するのはかなり先の事だろう。そのころには、宿の相場も上がり、町の雰囲気も変わっているかもしれない。それでも、100年以上の歴史を持つハウスボートは、そこにあり続け、旅行者達を暖かくもてなしてくれるに違いない。

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