スリナガルを攻略 - ハウスボート編スリナガルといえば、印パ紛争地帯であるカシミアの中心都市。外務省が「渡航の延期」をおすすめしている場所である。英国統治時代からの避暑地で、観光の目玉は湖に浮かぶ船形のホテル - ハウスボードだ。詐欺の話ばかり聞かされるハウスボードだが、実際のところどうなのだろうか。 |
旅行時期: 2009年9月中旬 為替: 1ルピー = 1.87円 作成日: 2010.03.01 目次 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
House Boat 概論ハウスボート or ボートハウスハウスボート,直訳すると、住居(ホテル)の機能をもった船。南インドのケララにも同じくハウスボートと呼ばれるクルージング船があるが、それとは全く異なる。ケララのボートの場合、船としての機能を備えた上で、キッチン、リビングや寝室をつけている。一方、こちらのボートは船の形をした家(ボート・ハウス)で、エンジンは付いていない。普段は、与えらた場所から動かないように杭などで固定されている。 始まりはやはりBritish最初のハウスボートが作られたのが1888年。当時、英国人は陸の上に建物を造ることを許可されていなかった。英国が統治者のはずだが、内政は現地の王に委ねられていたので、そうなっていた。彼らが苦肉の策で作った水上家屋がハウスボートの始まり。今でも、リビングの調度品などに英国スタイルのエッセンスが残されている。その後、スリナガルは避暑地として発展し、ハウスボートは観光資源へと変貌していった。 スリナガルのハウスボート事情水上生活者の村は、世界各地にあるが、水上ホテルを観光資源にしているところは、それほど多くない。特にスリナガルの場合、その数が半端ではなく、数百隻のハウスボートがひしめき合っている。 ボートは主に、Dal Lake(600隻), Nagin Lake(100隻), Jhelum River(数十隻?)の3箇所に固まっている。 町の中心に近いダル・レイクが観光客も多く、もっともメジャーである。 20年ほど前より、パキスタンとの併合を目指す過激派の活動が活発化し治安が悪化した。それに伴い観光客が激減し、ハウスボートは供給過剰な状態にある。テロ事件はたまに起こるものの、ここ数年は比較的治安が安定しており、少しずつ客足が回復しつつある。 施設と料金施設は、普通のホテルと大差なく、部屋には寝室、バス、トイレが付いている。一つの船につき、部屋は2,3室の場合が多く、それとは別にダイニングや居間などの共有スペースが必ず1つはある。部屋のグレードは、AからD、それにデラックスの5クラスに分けられており、それぞれに公示料金が決められている。室内設備に大きな差はなく、部屋の大きさと装飾が主な違い。また、食事付かどうかで4種類に分かれ、同じ部屋でも料金が違ってくる。 実際には、この公定料金はあまり機能しておらず、結局はオーナーの相場観+損得勘定で価格がきまる。 オフシーズンの場合、最低でも5割引からスタートし、とにかく客が欲しいオーナーはどんどんディスカウントしてくる。特に、デラックス・クラスの割引率は大きい。 ハウスボート・エクスペリエンスハウスボートにはいくつもの顔がある。テラスやバルコニーが一列に並んだ"高級"ボート通りは、一見水上レストラン街のようであり、ボートや家が狭い間隔で並ぶエリアは、運河の街のようでもある。環境のいいナギン湖周辺のボートは湖畔のコッテージのようであり、ジェラム川やダルレイク西岸の安めのボートは、水上生活者地帯にまぎれこんだような経験ができる。 詐欺の話長距離バスやジープから降りた瞬間、ハウスボートの客引きに囲まれることになる。ダルレーク周辺を歩こうものなら、10メートル置きに、ハウスボートや湖のボート・トリップに勧誘される。ハウスボートで有名な詐欺は2つあり、ひとつは、デリーのコンノートプレースなどで奇麗なパンフレットに釣られて、割高なパッケージを組んで来てしまった人。値段不相応なボートに泊められたり、周辺の観光地への”割高”なオプショナルツアーに誘われる。最後まで現地相場を知らずに帰国し、騙されたと感じない人も多い。もう一つは、激安価格で誘っておいて、後からいろいろ追加料金を請求したり、ドラッグなど別の方法で儲けようとするもの。両者とも、経験したことがないので詳しいことはわからない。 | ハウスボート事情1船の構造
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House Boat 1 - Jhelum Riverレーからスリナガルへ乗り合いジープでやってきた。着いた途端、数人の客引きにつきまとわれる。あまりにしつこいので、すぐそばのハウスボート組合に行くことにした。建物の中に入ると、スタッフは客引きの男達を追い払ってくれた。 ハウスボート組合ここのオフィスでは、希望クラスや予算を伝えれば、適当なボートを紹介してくれる。安いクラスを希望すると、スタッフは、私の荷物を背負って、近くの川に向かって歩き出した。川沿いに数隻ハウスボートが並んでいる。訪問先のボートは2隻あり、Bクラス、Cクラス、デラックスと見せてもらった。Cクラスはベットがなく、Bクラスの部屋はホットシャワーが壊れている。オーナー不在のため、その組合スタッフと値段を交渉することになる。相場もよくわからなかったため、結局2泊300ルピーでBクラスの部屋に泊まることにした。公示価格が830ルピーなので、65%引きの計算だ。 そのスタッフの男は、やたらと複数日にこだわり、一泊のみだと割引に応じようとしない。おまけにチップまで要求する始末。後から思えば、数あるハウスボートの中からどのボートを紹介するかは、そのスタッフの気分次第。空港のホテル案内のように、写真付きでカタログ化されているはずもない。今回は、近場で顔見知りのオーナーのボートを紹介したに過ぎない。彼も、その辺の客引きと大差ないのだ。 リバーボートの居心地そのボートはジェラム川(Jhelum River)に横付けされており、土手から直接歩いていける。部屋の窓を開けると目の前は川。水はキレイではないが、川幅も広く静かで落ち着ける。ベットにすわり川の様子を眺める。たまに果物や木材をのせたボートが通り過ぎるくらいで、往来は少ない。場所的に、物売りも客引きもやってこない。それはそれで寂しい気もする。正面に見える景色は、対岸の土手と建物。スリナガルまで来て、湖を避けて川に泊まるのは、どうも筋が違う気がしてきた。 ここの若いオーナーはちょっとアグレッシブな人で、やたらとデラックス・ルームへのアップグレード(+100ルピー)を勧めてくるし、毎日"今日のプラン”を聞いてくる。部屋には不満はなかったが、予定通り2日でチェックアウトすることにした。 評価今から思えば、一泊300ルピーという値段は、ちっともお得ではない。もっと沢山のボートを見てから決めるべきだった。とはいうものの、ジェラム川では、ハウスボートが密集しているわけではないので、他の船まで歩いていくのが面倒だったりする。 安いボートはダルレイクにも沢山あるので、わざわざジェラム川に泊まる理由は見当たらない。 | ハウスボート組合
ジェラム川
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Dal Lakeを攻略ジェラム川を離れ、ハウスボート激戦地のダルレイクに移ることにした。ダルレイクには、数百のハウスボートがあるため、的を絞った宿探しをしないと効率が悪い。まずは、全体像を理解してみたい。 上から見下ろすダルレイクの南側に、シャンカラチャルヤの丘があり、頂上付近にヒンドゥー寺院と電波塔が建っている。西側から30分ほどかけて登り、湖を上から眺めてみた。ダルレイクは大きな湖だが、ハウスボートがあるのは、市街地近くのエリアだけ。大部分は、”何もない湖”か畑になっている。 多くのハウスボートは新興住宅地のように、規則正しく並んでいる。特に、ブルバード通りと平行に走る3本の並びは、数百メートルにわたって伸びている。この区域のボートは、やや高めの大型ボートが中心で、安めのボートは、湖の西岸やその近くのエリアにある。 一見、ボートが固まって停泊しているように見えるが、実はその背後には、小さな島になっている土地があり人が住んでいる。ボートオーナーの家の他、集落が大きければ売店やモスクなどもある。下の写真のように、ボートが密集しているため、客室から広大な湖を眺めるという環境にはない。 写真: ダルレイク中央付近。下から、ブルバード通り、最前列、ゴールデンレイクの両側の並び。 G-mapより大きな地図で Dal Lake Houseboat Map を表示 エリア別に分析水門近くから北東方面に並んで伸びるボート郡: 基本的に大型のデラックスボートが並んでいる。
西側の奥に固まるボート群: やや小型で安めのボートが並んでいる。
| シャンカラチャルヤ
ダルレイク
ハウスボート事情 2ライセンス
シーズン、運営
環境
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House Boat 2 - Golden Lakeハウスボート・エリアの一等地で、どこか華がある。9月はオフシーズンのため、ひょっとするといい部屋に安く泊まれるかのしれない。 角部屋を探してシカラを雇い湖をまわる。ゴールデン・レイクの船はどれも大型で、デラックス・クラスの部屋しかない。相場は素泊まり600ルピーくらい。 景観のよさを重視して、水路の角に建つボートを中心に訪問していく。非常にいいロケーションのボートが一隻あり、部屋と眺めを確認した後、値段を聞いてみた。私はもっと沢山見てから決めるつもりだったので、だめもとで、予算は400ルピーだと伝えた。すると意外にも、オーナーの男はあっさりOKしてしまった。私の宿探しは30分もかからずに終わった。 写真: バルコニーからの広々とした眺めデラックス・クラス中の部屋は、文句なしのデラックス。12畳くらいの部屋にベットが2つ、ソファーが1つ。バス・トイレの横に化粧台がある。部屋の構造はジェラム川で泊まった部屋と全く同じだが、広さがすべて倍。壁板もピカピカで、天井、ベットや壁に手彫りの模様が施されている。共用の居間やダイニングはさらに豪華で、巨大なダイニング・テーブル、アンティーク風の椅子やソファーに、シャンデリラもついている。残念ながら豪華すぎて、全くくつろげない。バルコニーやテラスも広々としていて、行きかうシカラを眺めながらバカンス気分を味わうことができる。このようなマハラジャ・テイストなホテルに泊まる機会はまずないので、これは貴重な体験だ。 写真: 左:ベットルーム、右:共用の居間 水上の風景ロケーションで宿を選んだこともあり、部屋の窓から広い水面を眺めることができる。目の前は主要水路でもあるので、沢山の船が行き来する。住民や学生を乗せたローカルボートや、物売りシカラ。湖上マーケットに向かう途中の観光客もいる。ダル湖にはエンジン付きの船はなく、すべてて手漕ぎだ。ボートはオールが水をかく音と共に、ゆっくりと水上を滑っていく。 湖上では、移動はすべて船。すぐ近くの集落に売店やモスクがあるのだが、そこへ行くにも流しのボートを捕まえなくてはならない。幸い、売店シカラが湖を行き来しているので、ハウスボートから出なくても買い物はできる。 静かさの中の騒音ボート上の生活は平和で、時間を忘れてのんびりできる。オーナーの男は裏の自宅からめったに出てこない。住み込みの管理人兼コックの老人は、物静かでいつもバルコニーから外を眺めている。それでいて、用があるときは、テキパキと仕事をこなしてくれる執事のような存在だ。 夜のダルレイクは特に静かだ。周りのボートに客がいないのか、物音ひとつ聞こえない。ただ、これには2つ例外がある。ひとつはモスクのスピーカーからの音。湖の中の集落にも小さなモスクがあり、例によって定時になると、早朝でもガンガン合唱を流してくれる。 もうひとつは、同じボートの客。高級ボートではあるが、すべて木造のため、隣の部屋の客の会話がまる聞こえなのだ。ユニットバスのすぐ後ろに隣室のベットがあり、深夜トイレに行くのも躊躇してしまう。 評価オフシーズンということもあり、豪華な部屋に安く泊まることができた。小規模ボートにありがちな、個人的干渉は皆無で、サービスアパートメントにでもいるような気分だった。贅沢なハウスボートを体験するが目的なら、ゴールデン・レイクの大型ボートで間違いない。 | Golen Lake
Shikara
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House Boat 3 -ダルレイク 西側ダルレイクは懐が深く、Golden Lakeのような小金持ち向けの物件だけでなく、"価格"や"アットホームさ"を重視する長期旅行者向けのボートも充実している。その多くは、湖の西側に固まっており、ダルレイクの入り口で会う客引きの言い値がやたらと安いのも、そういう理由からだ。 ドゥンガこのエリアには、ハウスボートとは一線を画す、ドゥンガという住居用の船もちらほら見られる。ドゥンガの外見的は特徴としては、通常のハウスボートより小さい、天井が低い、屋根が三角形、窓に装飾がなく引き戸に近い、船先がせまい、船の中に廊下がない、船の周りに板の通路がない、などがある。すべて必要条件ではないが、一目でハウスボートと区別がつく。 ドゥンガは普通、オーナー家族や現地人の住居として使われる。中には、部屋をちゃんと内装して、ハウスボートとして営業しているドゥンガもある。他のボロいハウスボートと比べ特に安いわけではないが、船体が小さいので味がある。 ダルレイクの安宿街ダルレイクの西側の岸には、安そうなハウスボートが並ぶ通りがある。この辺りは水上生活者ゲットーのような佇まいで、オーナー家族のドゥンガとゲスト用のハウスボートが入り乱れて並んでいる。ブルバードで声をかけてきたおじさんのボートもこの安ボート街の並びにあった。 一泊50ルピーという価格に釣られて、部屋を見学に行く。ボートはドゥンガ船。部屋は広くないが、ダブルベットでバス・トイレ付き(hot showerはバケツ、トイレは和式)の普通の部屋だ。一応、船にバルコニーはあるが、この船の手前に別のドゥンガ船があり、景色はない。手前の船の部屋はホットシャワー付きということもあり、一泊150ルピー。朝晩二食付けるとプラス200ルピー。激安価格のボートでさえ、原価のかかる食事部分は、それほど値引きできない。 写真: 左: 安宿街の風景 右: 50ルピーの部屋 このオジサンは経験豊富なトレッキング・ガイドで、話していてその誠実さが伝わってくる。まだ幼い子供が2人おり、船と船を行き来して遊んでいる。タダ同然の価格について聞いてみると、「イード(ラマダン明けの祭)が近いので、少しでもお金を稼ぎたい」「今年は、まだこの子に一度も新しい服を買ってやってなくてね...」としんみりくる話をしてくれた。このハウスボートのように台所事情の苦しいところは山ほどあるに違いない。 湖の中の池ハウスボートの多くは、水路沿いにきれいに一列に並んでいることが多い。 一方、ダル湖の東側に、その法則に従わず、バラバラに並んでいるエリアがある。ある船は北を向き、ある船は西に向いている。ブルバードの客引きに紹介されたハウスボートはそのエリアの一角にあった。目の前は複数の水路の合流する場所らしく、池のように広々としていた。 部屋はデラックス(6畳強)で、素泊まり150ルピー。朝夕の食事をつけて300ルピー。これはオフシーズン料金で、シーズン中は500ルピーになる。
今回は食事付を選択した。朝はパンとカシミール・ティー。夜は、ご飯、ダルスープ、ポテトやカリフラワーを塩こしょうで味付けしたものが中心。オーナー家族の女性陣が食事を作り、男性兄弟が客の世話をする。手が空いていれば岸まで送ってくれるし、話し相手にもなってくれる。アットホームでかつフルサービス。それでいて、ちょっと安め。ゴールデン・レイクがシティホテルだとすれば、西側の中小ハウスボートは民宿と言えるかもしれない。 写真: 上: 水深のせいか、目の前に他のハウスボートなし。 下: いつも一人で食事したダイニング。ちょうどいい広さ。評価ほどんどの中小ハウスボートは、オーナー家族で切り盛りしている。そのため下宿感覚が味わえる。ゲスト・コメントブックを読むと、1,2週間の長期滞在する人がそこそこいるみたいだ。スリナガルのハウスボートは隠れた沈没地なのかもしれない。小規模ハウスボートに"ハウスボート滞在"の基本形を見た。 |
ダルレイク 西側
ドゥンガ
ハウスボート事情 3設備
インフラ
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House Boat 4 - Nagin Lakeダル湖に次ぐハウスボートの拠点がナギン湖。市街地から遠いので、ダルレイクほどツーリスティックでないのが特徴だ。そんなナギン湖の実力を探りに出かけることにした。 ナギンレイク概論ダル湖の北西に位置するナギン湖。ダル湖のように騒がしくなくのんびりできる。湖自体はダル湖のほうがはるかに大きいが、ボートが密集しすぎて広々とした景色は望めない。 一方ナギン湖は、ハウスボードが湖の周りをゆったりとした間隔で並んでおり、各ボードのバルコニーからは、湖全体が見渡せる。また、ナギン湖は湖に住んでいる人が少ないので水もダル湖ほど汚れていない。ハウスボートは、湖の東西の両岸に固まっている。 東側の中心バスでDal Gateからナギン湖に向かう。20分ほど経つと、左側に湖が見えてくる。橋を超えて、商店が増えて来た辺りでバスを降りる。湖へ続く土の道があるので進んでいく。ネギン湖のボートはすべて陸に繋がっていて、船が邪魔で湖が見えない。湖を見るには、ボートのバルコニーに入れてもらうか、船がない辺りまで歩かなければならない。 ボートのエリアに近づくなり、コーカサスの血の入ったボート・オーナーが話しかけてきた。他にあてもないので、中を見せてもらうことにした。 ここでは、ボートを2隻保有しており、それぞれ3食付で600ルピー。ここの売りは、小さいほうの船には、一部屋しかないこと。つまり、バルコニーもダイニングも居間も、すべて自分専用。一般的に、ハウスボートには、せいぜい2,3室しかないので、オフシーズンでは貸切状態のようなものだが、それが保障されているというわけだ。 湖の向こう側には、西岸に並ぶハウスボートとHari Parbat フォートが見える。 ダル湖と違い、シカラも観光客も少なくひっそりとしている。ナギン湖の場合、東側の道路沿いに商店が少しあるくらいで、近くにレストランなどない。よって食事付のパッケージが主流になる。そのボート・オーナーは、「うちはリクエストに応じて何でも作る」と胸を張った。ピザでも中華でも何でも対応できるらしい。 東側、橋のすぐ近くボートの数が少なめのナギン湖では、陸に横向きで停泊しているボートがいくつかある。その多くは、東側の橋の近くにあり、アクセスは悪くない。ダルレイクではほどんど見かけなかった"Lake View"の部屋がこちらでは可能なわけだ。 "東側の中心"からさほど遠くないので、歩いて向かった。 橋の下には、ボートが4,5隻あり、すべて岸に横向きに並んでいる。一軒のハウスボートに入り値段を聞いてみると、デラックスクラスで400ルピー、食事をつけると600ルピーとのこと。 確かに部屋の窓から湖が見えるものの、ベットやテーブルの位置、窓の高さが、Lake Viewを意識して配置されているわけではない。逆に、バルコニーは隣のボートのお尻に向くことになるので、あまり使い勝手はよくない。こう考えると、ボートの向きにこだわるのは、あまり意味がないのかもしれない。 訪問したボートは、客室が南西に向いているようで、午後は窓に日除けの布がかかりっぱなし。さらに、道路がすぐ近くなので車の音がうるさい。期待とは逆に、魅力に乏しいボートであった。 西側最後に湖の西側を視察。訳あって、シカラ(100ルピー)で横断せずに、オートリキシャ(50ルピー)で、湖の北側からぐるっと回って移動した。西側も、東側と変わらず、多数のボートがある。 私が訪れた場所は、ハウスボートの裏の丘が公園になっており、見晴らしがいい。湖の東側に高い山があるため、西岸から見たほうが景色がダイナミックといえる。この眺めなら、"インドのスイス"というキャッチフレーズも、なんとか許せる。 ただ、交通の便はよくない。東側が、Dal Gate行きのバスが通る道路まで、1-5分で行けるのに対し、西側は15-20分程度歩く必要がある。"アクセスは悪いが、景色がいい”ということで、 パッケージ・ツアー向きといえる。実際、高級そうなハウスボートに香港人の団体が泊まっていた。 公園でくつろいでいると、近くにハウスボートを持つ青年が話しかけてきた。「とにかく一目見てくれ」と懇願され、ついて行くことにした。彼が持つ3隻のボートは、そのハイソな公園を抜けた、さらに南にあった。船が古いので外観はさえないが、中はAクラスでちゃんとしている。料金は、朝夜2食付きで、300? ルピー。食事は、彼の母親と妹が作ってくれ、メニューもある程度指定できる。蓮に囲まれたのどかなボートで、実際、白人女性が沈没していた。 評価その景色や雰囲気から、ネパールのポカラを少し似ているかもしれない。見学したどのハウスボートもオーナーに熱心に誘われた。値段も施設も悪くなく、景色もダルレイクよりずっといい。それでも、一泊もしなかったのは、私が利便性に重きを置いているというのと、ここに移ると長居しそうな予感がしたからかもしれない。ボート自体はダルレイクと何ら変わりないが、湖畔のコッテージ的な雰囲気が味わえ、スロートラベル向きの場所といえるかもしれない。 |
ナギン湖
東側中心
東側橋近く
西側
ハウスボート事情 4サービス
汚水
手前:洗面所の排水, 奥:細い管 - トイレへ水を供給。太い管 - トイレからの排水。 昔の話、未来の話
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評価まとめ独断と想像で評価すると、
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最後に一旦、ハウスボートを選択するとつい長居してしまう。特に不満もないため、他を探そうという気分になりにくい。それでも、試してみたいボートは、まだ山ほどありきりがない。もっと魅力的なボートが湖のどこかにあるかもしれない。ハウスボートの評価は、人というソフトの要素も絡んでくるのでなかなか難しい。さらに攻略するには、もう1,2ヶ月必要だ。 残念ながら、パキスタン旅行が控えているため、スリナガルを去らねばならない。このころには、スリナガルが"渡航の延期"を提案されている場所だというのをすっかり忘れていた。外務省の危険情報が緩和され、スリナガルが地球の歩き方に復活するのはかなり先の事だろう。そのころには、宿の相場も上がり、町の雰囲気も変わっているかもしれない。それでも、100年以上の歴史を持つハウスボートは、そこにあり続け、旅行者達を暖かくもてなしてくれるに違いない。 |
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