インドの鬼怒川 マニカランで温泉三昧

マナリーのバシシトでインドの温泉を初体験した私は、より本格的な温泉場を求めてビアス川を南に下った。目的地はインド有数の温泉街マニカランだ。



旅行時期: 2009年4月前半
為替: 1ルピー = 1.98円
作成日: 2009.06.02

目次



マニカランへのアクセス

  • ブンタールやクルからバスが一時間に一本程度出ている。マナリーからの日帰りツアー(275Rs)もある。

ホテル事情

グルドワラに続くメインの通り沿いに多数ある。100ルピーあればベーシックなダブルの部屋に泊まれる。グルドワラにも宿泊施設があるが、外国人は泊まれない決まりになっているようだ。

マニカラン

   

目的地マニカラン(1700m)は有名な温泉地で、ブンタール又はクルでバスを乗り換え、パルバティ渓谷を2,3時間ほど登った先にある。インド人、特にシーク教徒に人気の巡礼地でもある。深い谷沿いに走る道路からの景色はいまいちだが、奥に進むにつれ、秘境感が盛り上がってくる。

マニカランの町の印象は一言でいうと“鬼怒川”。 川の両端にホテルが点在するだけの小さな温泉街。町の中心は川の北側にあり、一本の狭い通り沿いにゲストハウス、レストラン、みやげ物屋がびっしり並んでいる。その通りの中ほどにヒンズー教のラマ寺院がり、東の端には、この町のシンボルである、シーク教の宗教施設グルドワラ(gurdwara)と付属の宿泊施設がある。

温泉事情

マニカランの公衆浴場は主に4ヶ所。すべて無料。

  • ラマ寺院のとなりの浴場。屋根や壁はあるものの屋外にあるため、開放感がある。町の中心の広場に面しており人通りも多い。現地の人中心。
  • シーク教の宗教施設グルドワラの建物の中にある室内浴場。シーク教の巡礼者やインド人観光客が多い。一番雰囲気がある。
  • グルドワラの建物から橋を渡った所にあるシーク寺院のとなりの露天風呂。 プールのような広さ。すぐそばの建物の中に女性用の湯船あり。
  • グルドワラとなりのシバ寺院の敷地内にある小さなプール。参拝客がすぐそばにいるため、落ち着いて入れる雰囲気ではない。

それぞれ湯船の端に段差が付いているので半身浴ができる一方、深さが120cmくらいあるので、アクアウォーキングも可能。シバ寺院以外は女性用の浴槽もある。しかし男性用の三分の一くらいの大きさで、壁に囲まれており開放感はない。男性用はオープンな場所にあるため、女性が見学したり、足を突っ込んで湯加減をチェックしたりしても何ら問題はない。また、各ゲストハウスにお湯がパイプで送られており、シャワーのお湯に使われる。ゲストハウス内に共同の風呂場があるところも多い。


写真: 上: ラマ寺院横の浴場 左: 廊下から見たグルドワラ室内浴場 右:川沿いの露天風呂 

補足

グルドワラと露天風呂を結ぶ橋

シバ寺院の浴槽

ゲストハウス内の浴槽

Hot Cave


 グルドワラにあるホット・ケーブ。源泉が近いため、室内にある岩からの熱でちょっとだけ暖かい。服を着たまま入り、中に座ってくつろぐ。

入浴


    写真: グルドワラ室内浴場。通路兼洗い場。その左側に着替え用の棚が並ぶ

マニカランの公衆浴場には専用の洗い場はなく、湯船のそばに座って、体を洗う。流すときは湯を直接すくう。鎖で繋がれたバケツなどもある が、ホテルのバスルームからピッチャーを持参すると便利。どの浴場も浴槽のまわりのスペースに傾斜がついており、かけ流したお湯は排水口に向かって流れていく。入浴時は、裸にはならず、下着や水着を着用する。脱衣所はなく、タオルを腰に巻いて着替える。 グルドワラの室内浴場のみ壁沿いに荷物を置く棚がある。時々、お湯が熱すぎて入れない時があるので、他の人が入っているのを確認したから出向いたほうがいい。お湯はほんの少しにごっている感じで、温泉の成分はよくわからない。少なくとも、湯の花は入っていない。

   公衆浴場のいいところは、熱い風呂に入れることに加え、お湯が使い放題ということである。インドのゲストハウスでは、たいてい電気で湯を沸かしているため、タンクの容量を使い切ってしまうと、沸かし直すまで2,30分待たねばならない。ここではそんな心配はしなくていい。私は、バスルームの水差しでは物足りないので、食事用のプラスチックのピッチャー(2L)を持ち込んで使っていた。



グルドワラ

   

私の場合、その日の気分で2の屋内浴場か、3の露天風呂に入っていた。どちらもシーク教の人が多いため、彼らの入浴風景を観察できる。一見の 観光客がターバンを着けたまま湯船に浸かる一方、入浴目的に来ている人はターバンを取って体を洗う。丸く結んだ前髪をほどくと結構な長さだ。再び髪をボール状に結んで、ターバンを巻き直して入浴終了。

夕方にひと風呂浴びた後、橋の上で涼み、グルドワラ2階の食堂で夕飯を食べるのが日課だった。ここでは、他の町ののグルドワラ同様、食事がただで提供されている。アルミプレート、コップとスプーンをワゴンから取ってきて床に座ると、給付係の人がバケツを持ってやってくる。ライス、チャパティ、ダルスープ、野菜カレーなどあり、欲しい量だけよせてもらう。全く遠慮はいらない。食べ終わったら、食器を洗い場の人に渡せばOK。窓際のカーペットはチャイ専用シートになっている。 

毎日たくさんの巡礼客がやって来るので、作る食事の量も半端ではない。食堂奥のキッチンでは、調理係の女性が巨大な鍋でダルスープを煮込み、ひとつ上の階には、女性が十数人並んでベルトコンベア方式で、チャパティを製造している。

写真: グルドワラの食堂。カーペットに座ると給付係が回ってくる。

補足


温泉の湯で壷に入れたお米やダルをゆでる。



ワゴンから皿を取る。

カソール

マニカランの温泉は一通り攻略したので周辺の村を攻めてみることにした。マニカラン、実はそれほど居心地がいいところではない。川沿いの山に挟まれているため、空が狭い。中心を流れる川は激流のため、夜でもうるさい。町の雰囲気もどことなく落ち着きがない。のんびりしたい旅行者は、4km川下にある、カソール(KASOL) に宿を取る。カソールは、プルバティ版マナリーで、ドラッグやトレッキング目的の外国人旅行者の拠点である。夏になると、質のいいチャラスを求めてヒッピー風旅行者が押し寄せるところもマナリーに似ている。このカソールにもホットスプリングがあると聞き、マニカランからバスで向かった。

  

カソールの村は、バス停のある橋を境に、ニューカソール(マニカラン側)とオールドカソールに分かれている。マナリーと違い、ニューとオールドにそれほど大きな差はない。場所柄イスラエル人が多く、ヘブライ語を話すインド人店員も何人か見かけた。 カソールのホットスプリングはバス停から川下に向かって歩いてすぐのところにあった。 そこにあるのは、お湯汲み場と岩で囲まれた一畳もない湯溜り。ホットスプリングと温泉は同意ではないとはいえ、 しょぼすぎる。それでも地元の人は入浴するのであった。 

写真: カソールの湯溜りで入浴する男性

カソールの行き方

  • バス: マニカランからバスが30分おきくらいに出ている。 4ルピー
  • ブンタールからマニカランに来る途中にある。


ヘブライ語の看板あふれるカソール

キルガンガ

次に向かったのが、パルバティ渓谷をさらに24km進んだキルガンガの温泉。道路があるのは途中までで、そこから先は4時間ほど歩いて行くことになる。詳しくは. 「秘湯キルガンガへトレッキング」のレポートを参照。 この温泉は丘の上に位置しており、目の前は山の岩壁で景色は申し分ない。ただ、お湯がぬるい。そしてアクセスが悪すぎる。宿泊施設はあるのだが、電気がないので夜はろうそく。そこまでして温泉に行く必要もないだろう。

キルガンガへのアクセス

秘湯キルガンガへトレッキング」のレポートを参照。

まとめ

よくよく考えてみると、毎日温泉三昧というのは日本を含めてあまりない。銭湯では湯船が小さくて迫力がないし、サウナは入場料がバ カにならない。温泉観光地は、宿泊コストがかかる。一番近いのはスーパー銭湯だが、徒歩で通えて、湯船が深く、ただ飯が食えるところなどあるはずもない。マニカランあなどれません。

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