中か外か

 ジャイサルメール(現地発音:ジェサメー)のゲストハウスは大きく分けて、城塞の中と外に分類される。城外の安宿は、旧市街の西側に点在しており、城塞からも遠くない。ホテル・レヌカのある通りに何軒か固まっている。一般的に城外のほうが割安で設備もいい。

しかしこの地方のホテルの相場は恐ろしく安いので値段での比較はあまり意味がない。フォートを外から眺める側か、中から下界を見下ろす側かの選択になるとやはり中からのほうが楽しそうだ。

フォート内

基本的にフォートの中はレストランもネットカフェも何でもあるので特に不便は感じない。中の街は狭いのでどのゲストハウスに泊まってもすぐにフォートの外まで歩いていける。奥のほうだと途中の土産物屋に必ず声をかけられるのが面倒なくらいだ。フォート内にはエアコン付きのやや高級な宿もあるが、だいたいは安いゲストハウスである。ほどんどの宿が列車の到着にあわせて駅に客引きに出向くので、あらかじめホテルが決まっていばそのままついていってもいい　。部屋が気に入らなければトゥクトゥク代30ルピー払えばいい。フォート内は広くないが道が複雑で初めのうちはわかりにくい。

部屋のタイプ

城内の安宿はかつての豪華住居(Haveli) をそのまま使っているものが多く趣きがある。部屋の形が城壁にあわせて丸かったり、同じゲストハウスの中でも、部屋の大きさがてんでバラバラだったりする。印象としては窓が小さく室内が暗めのことが多い。部屋によってはマハラジャが住んでいたとかいろいろ売りがある。設備としては時間限定のホットシャワーにファン。一泊200-500ルピーくらい。ロンプラは城内の環境問題を考慮して2007年版よりフォート内のホテル掲載しないことにした。この影響でフォート内のホテルの稼働率が多少下がっている気がする。

景色

ホテルの決め方としては、価格以外に、建物や部屋の雰囲気、キャメルサファリのプレッシャーの有無などいろいろ考えられるが、せっかく城塞に泊まるのなら景色重視で選びたい。城塞内部の景色は特に面白くもないので、街を見下ろせる城壁沿いのホテルがいい。

フォートの南側の城壁沿いにはゲストハウスが多く立ち並ぶ。Paradise,Desert Haveli, AGAR,Surajあたりの評判がいい。しかし、フォートの南側は少し街があるだけですぐに砂漠になってしまい、景色はいまひとつ。旧市街の町が広がっているのはフォートから見て北東方面。この方向に面した場所には宮殿があり、実際宮殿の屋上からの眺めが一番いい。宮殿の東隣の建物からの眺めも同様にいいが、それらはホテルではなくレストラン。

フォートの東側の壁部分にも４，５軒ゲストハウス(Killa BhawanやSurya G.H.など)があり、ここからの景色も悪くない。宮殿の北側はホテルが少なく、Moti Palaceがあるくらい。Killa Bhawanは高級なゲストハウスなので候補から外すと、結局残った“眺めのいい安宿”はMoti PalaceとSurya G.Hになる。この２軒を詳しく見てみたい。

  写真: 下: 位置関係。宮殿、Moti Palace, Surja共に、北東に面している。Little Tibetはレストラン。

Surja G.H.

ちょっとボロいが、屋上レストランの眺めはピカイチ。

Moti Palace

メインゲートへの通路の壁の上、というユニークな場所に立つゲストハウス。

滞在

実際に3,4日フォート内のホテルに泊まってみた。朝起きて旧市街を眺める。すぐ下の道路沿いの賑わいを見る、バルコニーに座って本を読む。目の前を鳥達が行き来し、頭上ではパキスタン国境を警備する戦闘機が一日何度も通過する。最初は楽しかったが何日もここに泊まりたい、という気はしなかった。眺めのよさと居心地のよさはあまり関係ないのだ。それでも眺めのいいレストランに１時間いるだけでは味わえない何かを感じ取った気がする。フォート滞在時の静かで乾いた感覚が今でも体に残っている。