聖地 プシュカルを攻略

ヒンズー教の聖地プシュカル。街の中心には小さな湖があり、水辺のガートはインド人の巡礼者で毎日にぎわっている。小さな街で雰囲気も落ち着いているので長期滞在する外国人も多いらしい。同じ聖地のバラナシとは正反対のこの街のよさを楽しんでみたい。



旅行時期: 2009年1月後半
為替: 1ルピー = 1.81円
作成日: 2009.06.02

目次


ガートビューの部屋

せっかくなのでガートの沐浴風景を部屋から見えるホテルに泊まってみたい。ほとんどのホテルは湖を囲む道の外側にあり、ま た内側でもガートが間近に見えるホテルは数えるほどしかない。ガイドブックで調べてみた結果、Bharatpur PalaceLake Viewホテルがよさそうだ。ラフガイド(08)によると、両ホテルとも、”設備のわりに割高だが、ガートの眺めはすばらしい”との評価。高いといってもA/Bで400ルピーとかその程度なのだが。

ロンプラ(07)はBharatpur Palaceの1号室と9号室を絶賛。両ホテル共、ガートビューの部屋は限られているが、屋上やテラスから同じ風景が楽しめる。Lake Viewのほうは屋上にレストランがあるので、部外者が入っていっても怪しまれない。ガートの回りには、牛、サル、鳩がたむろしており、こちらの動物も部屋からウォッチングできる。

写真:左下: Bharatpur Palace 3Fより。もうひとつ別のガートもここから見下ろせる。
右下: Lake View Hotel 屋上テラスからガートを見下ろす。湖全体の眺めもいい。

補足

Bharatpur Palace


2階に1号室(左端 C/B)と9号室(右端 A/B)がある

Lake View Hotel


ガートの真上にあり、中庭を囲むように部屋がある。

湖を一周


さて、ホテルも決まり、ガートを見学することにする。見渡せばガートだらけで、1時間もあればガートをつたって湖を一周で きそうだ。ガートの水辺付近は土足禁止なのであらかじめ裸足になってから出発。プシュカル湖サーキットに挑戦。ホテルのある北側から反時計回りにスタートしたものの、すぐに部屋に戻る羽目に。その訳は西のほうに2箇所ほどガートが途切れる場所があり道路に出なければならない。もうひとつの理由は巡礼客が牛や鳩に投げた米菓子やとうもろこしが床に落ちているので裸足だと痛い。サンダルを履いて再スタート。北側はメジャーなガートがいくつかあり、観光客も多く賑やか。

メジャーなガートを過ぎ湖の西側、南側を回る。こちらのガートはほとんど人がいない。湖の南側では、大規模な工事が行われていて、湖の一部を埋めて公園でも作っているようだった。

写真: 上: 湖の北側。ガートでプリストの説明に聞き入る団体客。 
左下: 湖の南側。土を移動して桟橋のような出っ張りを構築中。右下: 湖の東側。ヒッピー風の服屋が並ぶ。

プシュガルパレスを過ぎたあたりから湖の外側が再びにぎやかになってくるのに気づく。湖の東と北側の通りはバザールになっていて道の両側に店がひしめきあっている。特に、東側は外国人向けのツーリステックな店が多く、旅行会社や本屋、みやげ物屋、レストランなどが軒を並べている。食べる場所はたくさんあるが、ヒンズー教聖地のため、肉を出す店はない。再びガートに戻り湖一周の旅を終了した。

補足


聖水持ち帰り用の容器


町自体は、インド人観光客がメイン

写真は禁止

基本的にはガートでは写真が禁止されている。しかし人によってまったく正反対のことを言われる。

  • ホテルの人 「らくだフェスティバルの期間以外はOK」
  • 売店の青年 「女性の着替えだけはだめ。」
  • 売店の青年2「外人観光客が興味本位でとるのはだめ」
  • プリスト 「インド人はいいが外国人はだめ」

人によってバラバラなので注意してくる人(主にプリスト)がいない限り写真は問題なかった。しかし今考えるとやはり基本的にはダメなのだろう。他の欧米人もよく注意されていた。インド人観光客は他人ではなく、自分達のスナップを取っているのでOKという考えは納得がいく。

写真: 上: 写真禁止の壁書き。 下: ガートに集まる巡礼客。

裏山の砂漠

翌日、町の西側に位置するサヴィトリの山に登って湖を見下ろしてみた。気がつかなかったが街のすぐ東側に砂漠のような丘が広がっているようだ。実際に行ってみると砂漠の入り口に”Sun Set Sand Dunes”の看板が。一応サンセットポイントらしい。やや土っぽいものの一応丘の上までは砂漠になっていた、頂上を越えると雑草の生えた荒地という感じ。

写真: 上: 山から湖を見下ろす。 左下: サイババホテル屋上より砂漠方向を見る。 右下: 丘の上までは砂丘。

のんびりを邪魔する人達

バラナシと違いのんびりしたこの町にも、外国人観光客にちょっかいを出す輩が存在する。彼らとどう接すればいいのか探ってみたい。

プシュカル・パスポート

ガートを歩いていると必ず遭遇するのがプリストのプージャの押し売りだ。プリスト(僧侶)は基本的に特定のガートにいて、プシュカルでのプージャ(祈りの儀式)の作法を指導してくれる。あれよあれよと言う間に花を渡され、いわれたとおりに家族の名前を読み上げ、湖に投げ込むことになる。そして最後に寄付を求められる。一部の人を除いて正式なプリストのようだが、問題は外国人には高いドネーションを吹っかけてくることにある。相場を調べてみると、

    • ラフガイド(08) インド人は21ルピーか51ルピー支払う。外人は後者で十分。
    • フットプリント(09) 50で十分
    • ロンプラ(07) 相場の記載なし
    • ホテルの人 10-20ルピーで十分

インド人10-20, 外人50が相場の目安のようだ。プリストは最初、家族の数 x 100ルピー程度要求してくるものの、渋ると50ルピー(1ドル相当)まであっさり落ちてくる。自分は20ルピーだけ支払った。同意した金額支払うと、腕に赤い紐を巻いてくれる。これがプシュカルパスポートと呼ばれるもので、これを見えるようにしていれば他のプリストから同じような押し売りをされなくてすむことになっている。プリストのちょっかいを無視し続けてガートを散歩するのはほとんど無理なので、たいていの外国人はプシュカル滞在中このパスポートを腕に巻くことになる。

しかしよく見てみるとありふれた模様のこの紐、自作の可能性を感じたのは言うまでもない。ある時、道でからんできた子供に 「これはどこで売ってるんだ」と腕をまくって見せると、こちらの意図を理解したのか近くの駄菓子屋に案内してくれた。店主に何か話すと、奥から紐の大量に入ったビニール袋が出てきた。紐は、全く同じデザインで、一塊3ルピー。

写真: 左上: 本物の紐と駄菓子屋の紐。たっぷり10人分は作れそうだ。右上: 言えば奥から出てくる。

あっさり攻略したものの、この発見を素直に喜んではいられない。何しろこの町にはイスラエルと韓国の長期滞在者が多いらしい。食堂の看板もヘブライ語とハングルが幅を利かせている。言っては悪いが彼らはケチで有名だ。東西の倹約チャンピオンの彼らがこの裏技を知らないわけがない。

補足

イスラエル・ファーストフード店


湖の東側の通りに3軒固まってある。

ヘナアート

 

もうひとつ注意が必要なのが、ヘナアートの押し売りである。基本的にインドで大人の女性から話しかけられることはまずない。バクシーンを求める女性くらいか。若い女性からいきなり、ハロー、ハウアーユーと声をかけられれば何か裏があると思ってまちがいない。そういう私もプシュカル滞在中、油断して、相の会話に乗ってしまった。

女性 “どこから来たの。コリアそれとも日本?”
“日本です”

女性 “へー、日本はグットカントリーね” (定型の返事。実際には興味なし)
“私はジャイサルメールから来たの。“

  ここで私の手を握り、右手に隠し持っていたへナのチューブでお絵かき開始。


女性 “ジャイサルメールの街はね、城が真ん中にあってね、壁が町を囲んでてね…”

ものの2,3秒でかなり描き進んでしまった。完成する前に制止し、なんとか絵の代金を支払わずにすんだ。聞くところによると100ルピーとか請求してくるらしい。この手のアート系の押し売りはジプシーの血を引く人達に多い。プシュカルには彼女らヘナレディーが2,3組いて、日々獲物を探して巡回している。

写真: 上: ヘナレディーズ 

下: 描きかけのジャイメサール。2,3日は跡が残る。

ジャパン or コリア攻撃

プシュカルでは、挨拶代わりに「Japan or Korea?」と言われる。特にブラマー寺院に続く参道に多い。 彼らは店番をしている若者なので、きっかけ作りのつもりなの だろうが、からかい半分の奴も多い。私はいつも、「I am a Singaporean」と答えていた。シンガポールという国名は知っているだろうが、知識がないので話が続かないのだ。「コンニーチハ」とか「チング」とか、用意しておいた日韓のフレーズも使えない。思考が停止している隙に、足早に立ち去る。この方法は「I am a Chinese」でも「I am a Taiwanese」でも使える。相手に国のイメージがなければ成功する。ただ、ごくまれに普通に親しくなろうとして話しかけてくる人もいて、そういう人が無言で固まってる姿を見ると申し訳なく思う。

最後に

大きな発見こそないものの、プシュカルの全貌が見えた気がする。私ものんびりしたいところだが、肉好きの私が長期でエンジョイできるかどうか疑問だ。

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