文化三角地帯を裏口から攻略

スリランカには、文化三角地帯(Culture Triangle)と呼ばれるエリアに仏教遺跡群が点在している。外国人の入場料はバカ高く、 毎年のように値上げされ、2009年2月現在主要な遺跡は$25ドル(2800ルピー)もする。現地物価を考えると異様な高さ。こうなるとチケットを買わずに裏口から入る方法を探りたくなる。今回シギリア遺跡、ポロンナルワ遺跡について考察してみた。


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地域: スリランカ
ジャンル: 仏教裏技

旅行時期: 2009年2月後半
為替: 1ルピー = 0.83円
作成日: 2009.06.02

目次




シギリア遺跡

敷地には入り口が1つ、出口専用通路が1つあり、大部分は堀でかこまれている。よく見ると出口通路付近には堀がなく、歩いて渡れそうな気がする。 しかし、この方法は使えない。運良く中に入れたとしても岩山のフレスコ画に向かう途中にもうひとつチケット・チェックがあるから。シギリア遺跡に行ってフレスコ画も見ず岩山にも登らない人などいないので意味がない。シギリアロックは素直にチケットを買って正面入口から入るほうがよい。


写真: 上段: 正門からシギリア・ロックに向かう。
下段左: フレスコ画の写真をとる観光客。 下段右: 頂上の宮殿跡へ登る階段。

補足

  • シギリア遺跡 $25(2800ルピー)

ポロンナルワ遺跡


ポロンナルワ遺跡は、5,6キロにわたる遺跡の保護区で、柵で囲まれてたエリアの中に遺跡が点在している。正式な入口は 一ヶ所だけ。

写真:ガル・ヴィハーラの座像

補足

  • ポロンナルワ遺跡 $25(2800ルピー)

トゥクトックから情報収集

とりあえず、正式な入口を見に行くことにする。遺跡の入口に向かう途中、たいてい複数のトゥクトゥクに声をかけられることになる。チケット持っているかどうか。周遊券などすでに持っていれば、遺跡めぐり2,3時間を600ルピー程度でオファーされ、持ってなければかなりの確率で”安く”入場する方法を誘っくる。ロンプラや歩き方では相手にしないよう警告しているが、安く入る仕組みがわからない以上何ともいえない。トゥクトックの話に乗ってみて全体像を探ることしてみた。3、4人程当たってみた結果、3つのオプションがある。


    • チケットなしで裏口から入る。目玉のガル・ヴィハーラだけは見ない。 1500ルピー。
    • チケットなしで裏口から入る。ガル・ヴィハーラが見たければ5:45分以降。 1500ルピー
    • 周遊券をバラ売り。2800ルピーの入場券を2000ルピーにディスカウント。それにトゥクトゥク代600ルピー加えて2600ルピーで回る。正式なチケットなので博物館にも入れる。


これらすべてトゥクトゥク代込み。中は広いので、短時間で効率よく回ろうとするとトゥクトゥクが必要になってくる。なぜか料金は後払いという良心的な契約。正式なチケットを買って歩いて回る場合、2800ルピーかかる。


単独突破

印象としては、中に裏口から入るのは容易だが、ガル・ヴィハーラの所だけチケットチェックがありそこだけは突破できない。ただ、職員が帰る6時以降なら問題ないようだ。ではトゥクトゥクを使わずに自分で裏口から入場することは可能だろうか。ロンプラの地図を見てみると、正式なゲート以外にも3箇所ほど中に続く道がある。まず手ごろなところで、川の裏からクワドラングル近くに出る道をトライしてみる。途中、柵もゲートもなく中のメイン通りにあっさり入れてしまった。意気揚々と北に向かって歩いていると、目ざとく気づいた職員がバイクで追いかけてきた。世の中そんなに甘くない。とりあえず、チケットの販売場所を知らなかったことにして、遺跡を後にした。この裏道はメインゲートからそんなに遠くない場所に合流するので、見つかりやすい。


意外に厳しいセキュリティ

顔が割れてしまったので自力での入場をあきらめ、一番確実な周遊券のディスカウントに頼ることにした。トゥクトゥク代を加えても正規のチケットより安いのだから絶対お得である。しかし、そのトゥクトゥクに聞いてみると、私が裏道を攻略している間にチケットの所有者(元締め)がより高く買ってくれる客を見つ けたらしい。どうも周遊券は、他の観光客やガイドあたりから仕入れているようで、在庫はあまりないようだ。

結局リスクを取って、ガル・ヴィハーラにも行くというトゥクトゥクを使うことにした。1500ルピー。トゥクトゥクは川沿いの道路を北へ向かい、数分走った後橋を渡り、細い道を何度も曲がりながらキリ・ヴィハーラの近くにたどり着いた。個人でこの裏道を辿るのはまず無理だろう。

早速観光開始。ガル・ヴィハーラは後回しにして、他の遺跡を先に見て回ることにした。近くの遺跡を2,3見学した後、トゥクトゥクと合流すると、どうも彼の様子がおかしい。彼いわく、私はセキュリティにマークされているらしい。”黒いシャツの帽子をかぶったジャパニーズ”の情報が無線で伝達されているというのだ。これは困った。チケットを持っていないので見つかったら終わりだ。想定外の展開に困惑していると、なぜかトゥクトゥクの元締めらしき男がやってきて、使用済みのチケットを買わないかと誘ってきた。一枚700ルピー。これがあればチケット・チェックされても問題ない。ここでもうひとつのオプション。


    • チケットなしで裏口から入る。中で他の客が使った本日分のチケットを渡す。1500 + 700 = 2200ルピー。

結局、使用済みチケットを購入することにした。一見詐欺にあったようだが、私が捕まったら彼らも都合が悪い。料金は後払いなのだから。 実際チケットを入手しておいてよかった。その後クワドラングルと宮殿跡で計2回もチケットチェックされたのだ。トゥクトゥクが繰り返し “お前が裏口から入らなかったら問題ないのに...”とブツブツ言うところを見ると普段は問題ないようだ。

彼によると、先日イタリア人旅行者がチケットを買わずに入ったところ、セキュリティと口論になり警察沙汰になったらしい。結局ペナルティとして一人2枚チケット買わされたとのこと。その関係でセキュリティが普段以上にきびしいようだ。

遺跡を一通り回った頃には6時を過ぎていた。最後に目玉のガル・ヴィハーラを訪問。職員はすでに帰り支度をしていてチケットチェックなしで見学できた。

写真: 上: キリ・ヴィハーラ。下: ガル・ヴィハーラの立像と涅槃像。

複雑な関係

ここまで経験してきて、大体全体像が見えてきた。

  • トゥクトゥクは入口のセキュリティに賄賂を渡しているわけではなく、セキュリティのいないところから入っている。
  • セキュリティの中に協力者がいるらしく内部の情報は把握している。
  • 基本的にセキュリティとトゥクトゥクは敵対関係にあるため、場合によっては捕まるリスクがある。
  • ガル・ヴィハーラのチケット・チェックは突破できないので正式なチケットがなければ職員が帰るまで待つ必要がある。中には日没までいていいので、閉門時間と日没時間の間の”空白の時間”を利用するのだ。
  • もちろんセキュリティスタッフもトゥクトゥクの悪行を把握しているが、チケット(再利用含む)を持っている客には何もいえないし、やたらめったらチケットチェックするわけにもいかない。
  • 値段のプレミアム(1500 - 600(純粋なトゥクトゥク代) = 900ルピー)の一部は、おそらく元締めや内部協力者に流れているのだろう。
  • 結果、客は高いチケットを買わずに入場でき、トゥクトゥクや元締めもリスクをとって報酬を得るというWin-Winの関係が長年築かれている。

最後に

とりあえず捕まることなく主要な遺跡を回れた。約束通り、1500ルピーといくばくかのチップを渡してドライバーと別れた。その日の夜外出すると、橋の近くで今日値段交渉したトゥクトゥクや元締めが勢ぞろいして、何やら楽しそうに話している。小さな町なので、ドライバー同士みんなつながっているようだ。基本的に陽気で気さくな彼ら。このビジネスモデルはこれからも続くだろう。

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