バックウォーターを攻略 - 観光ボート編

アレッピー周辺のローカルボート路線を攻略した私は、南に向かうことにした。もちろん移動はコーラム行きの長距離ボートだ。バックウォーター・トリップの代名詞であるアレッピー-コーラム・ルート。基本的に、観光客向けだが、どの程度楽しめるのだろうか。



旅行時期: 2009年2月前半
為替: 1ルピー = 1.85円
作成日: 2009.10.01

目次


観光用ボート

当日、DTPCでチケットを購入し、アレッピーの船着場に向かった。乗客は、インド人一組を除いて、すべて外国人。確かに、ハウスボートの優雅さも、バスの利便性もないこのボート。まだまだ暇な外国人向けだ。

今回乗る船は、普通の船に無理やり日よけと手すりをつけて2階建てにした「なんちゃってルーフトップ」の船。屋根が軽くカーブを描いているので、乗船中、椅子がどんどん外側にずれていく。指定席などなく、人気の2階席は早いもの勝ち。遅れて来た人は、しぶしぶ1階の席にすわって数時間船に揺られることになる。

屋根の上には前方部分に椅子が3列、出入り口をはさんで後方に4列並んでいた。前方の席は視界が開けていていいのだが、日当たりが良過ぎるのが難点。船は終始南に向かって走るため、日が高くなってくると、1列目の人がだんだん後ろに下がってきて2列目3列目の人のスペースを圧迫し始めるのだ。また右端(西側)に座っている人は午後の強い日差しに苦しむことになる。

一方、1階はどうなっているかというと、左右の窓にそって木製のベンチがあるだけ。ベンチの間のスペースには乗客のバックパックが積み上げられている。景色も見づらく、完全にハズレの席だ。
写真:上:観光用ボート。下:後方の席。日よけは鳥の糞よけも兼ねている。

補足

  • チケット: 400ルピー。食事含まず。船内で売店や水の販売はないので、出発前に用意する必要あり。曜日によって運行会社が違うようなので、今回の体験はあくまで土曜日の場合。 
  • チケットは2階のプラスチック椅子の数以上に売られるので、早めに来ていい席をゲットしたい。

快適な船旅

船は予定通り10時半に出発。運良く前方2列目をゲットした私は、見通しのいい景色を満喫した。観光用ボートのいいところは目線の高さ。ローカル線では、遠くの景色が見づらかったが、目線が高いので土手の先の田んぼまで良く見える。川沿いの道、民家の庭、すれ違うハウスボートのテラスも上から見下ろせる。エンジン音もローカル線のようにうるさくないので快適だ。

 乗客のほとんどは、風光明媚な移動手段として乗船しており、運行ルートにはあまり関心がない。一方、私は水路図を持っているため、現在地をだいたい把握していた。そのため、風景はもちろん、水路の分岐や橋の位置にも注目しながらクルージングを楽しんでいた。

写真: 上:水路沿いの家。 下:遠くの田んぼもよく見える


アレッピー(10:30) => A地点(12:00)

出発して最初の90分はチャンバクラム(Chambakulam)やエダトゥア(Edathua)行きの船と同じ水路を通る。小さな湖を通過し、細い水路を通って南北を走る大きな水路に出る。午前中は川辺に人が多く、皿洗いをする主婦や水浴びをする人など見ていて飽きない。また、ローカル船と違いジグザグに走らないので速く進む。その結果、短時間でより多くの人を川辺で見かけることになる。

南下するにつれ、徐々に周りの家が少なくなっていく。船は、椰子の木と水田に囲まれた道をスイスイ進む。ここはハウスボートも多数通る主要水路のため、どこか華やかな雰囲気がある。


写真: 上: 南北に走るウォーター・ハイウェイに出るまではローカル線同様細い水路を通る。下: 頻繁にすれ違うハウスボート。

ルート (Alleppey -> A)


A地点(12:00) - B地点(1:45)

チャンバクラムへと続く大きな水路とお別れして、少し細めの水路に入っていく。このルートをクルーズするハウスボートはなく、民家も少ない。やや退屈で静かなクルーズとなる。椰子の木以外、これといって特徴のない景色をどんどん進んでいくと、右側に海へ抜ける水路(Spillway)が見えてくる(12:50)。さらに水路は細くなったり太くなったりしながら大きな湖にたどり着く。その少し手前のCoir Village Lake Resortで停泊し、ランチタイムとなった。


写真: 左上: ココナッツ運搬船。 右上: 川で入浴する人 下: 洗濯中

ルート (A -> B)


Lunch Time (1:45 – 2:15)

1:45PMに遅めのランチブレイク。3時間も船に揺られ、乗客はみな空腹のようだ。場所はリゾートホテルの食堂だが、メニューは一種類だけ。バナナの皮の上にミールズを乗せたもので、追加で魚のフライや果物もオーダーできる。なぜか、外国人全員もくもくと手で食べていた。やはりバナナの皮がそうさせるのだろうか。どうしても抵抗があるイタリア人男性だけはプーリーをスプーン代わりにしていた。


写真: 左: メニュー。 右: 食事後、すぐに湖に出る。

lunch

  • チケット代に含まれていないので自腹.
  • ミールズ: 50, 魚フライ - 35, 水(ボトル): 20, パイナップル 20。

B地点(2:15) – C地点(4:00)

再び出発。すぐに湖に入るも、湖は見るものがないのでたいてい退屈だ。途中、コーラムから来ている観光船とすれ違う(2:50)。やっと中間地点まで来たようだ。しばらくするとチャイニーズ・フィッシュネットのトンネルが見えてきて、間を抜けていく。これが結構長いこと続く(3:10-3:25)。湖をやっと抜け、再び椰子の木に挟まれた水路に入っていく(3:35)。バリカブ?(Vallikkavu)の町では唐突にピンクの高層マンションが出現。そのすぐ後の船着場で3割くらいの人が降り、同じくらいの人数が乗り込んできた。リゾートホテルでもあるのだろうか、それとも時間がないので車に切り替えたのだろうか。


写真: 左:コーラム発の観光船。乗り換えてアレッピーに戻ることもできる。右: チャイニーズフィッシングネットのモールを抜けていく。網のない未使用のものが多い。Chinese Fishing NetはGoogle Mapでも確認できる。

ルート (B -> C)



C地点(4:00) – D地点(6:00)

湖と水路を交互に通過しながら進んでいく。気づくのが遅れたが、この辺りでは水道が普及しているようで川で洗濯や水浴びをする人が見られない。川沿いには鉱石の処理工場(5:15)などもあり、田舎の水路というよりは都市近郊の川という雰囲気。次の湖でサンセットを迎えるように時間調整しているようで、いつもの半分くらいのスロースピードでこの汚い水路を通過した。


写真:右: 教会(5:17)  左:汚い川にかかる汚い橋を水道パイプ(5:40)

ルート (C -> D)


D地点(6:00) – コーラム(7:00)


湖に入るとスピードを上げ快走し、予定通り湖上で日没を迎えた(6:30)。すでに暗くなり始め、風が冷たく寒い。この湖がけっこう大きく、通過するのに1時間もかかってしまった。例によって湖上は見るものがない。乗客は、既にクルージングに飽きており、震えながら少しでも早い到着を待ち望んでいた。最後はゴミの山やキテレツな教会のある出島を横目に見ながらやっとコーラムに到着(7:00)。とっくに日が暮れていた。

写真: 上:湖で迎えるサンセット 下:到着

ルート (D -> Kollam)


船旅を振り返る

こう見てみると、乗客が途中で飽きてしまうのもうなずける。楽しいのは最初の一時間くらいで、水路や景色がだんだんつまらなくなっていく。後半は何もない湖ばかり。前方の席の人は私を含め飽きずに景色を眺めていただが、後方の人は読書をしている人が多かった。景色はおまけで、水上クルージングの心地よい風を楽しんでいたのだ。そういう"乗り方"もアリだな、と考えつつ次の目的地、トリバンドラムへのバスに乗り込んだ。

 

Google Map (ルート全体)


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